第17話

「ジュース持ってくるから座ってて」

「あ、まって!あのね、ジュース買ってきたの!だからコップだけ貸して!」

「はいはい」

キッチンにコップを取りに行くと、冷蔵庫に


楽斗、シュークリーム食べて生き返りなさい 母


と書かれたメモが貼られていた。

なんだかんだ干渉してこないだけで、心配はかけてしまったみたいだ。

冷蔵庫をあけると、いちごのシュークリームとダブルホイップシュークリームが置かれていた。

最近、食事の量も少し減ったので、母なりにもっと食えと言っているらしい。

ちょうど音符もいるし、いちごは音符にやるか。

コップとシュークリームを手に持つと、音符の待つ自分の部屋に行く。

「お待たせ。シュークリーム食っていいよ」

「わ、わ、いちご!!いちごのシュークリームある!!今すぐ食べよ!!」

「分かったからジュースいれて」

「うん!これねー!新発売なんだよ!」

音符はコンビニの袋からトロピカルフルーツティーとバナナミルクのパックを出すとフルーツティーの方を楽斗に渡した。

「音符、これだったら、コップいらなくない?」

「ストロー入ってなかったの....」

「あ〜、うん、どんまい」

ジュースをコップに注ぐと、音符は早速シュークリームに手をつけた。

「ん〜〜!!おいし〜〜!!これ中々人気だから買えないんだよ〜〜」

「へえ、そうなんだ」

「はい!一口あげる!」

「え、うん」

パク、と一口食べると、甘かった。

いかにも音符が好きそうな味だ。

「ん、ありがと」

「えへへ、がくと、ついてるよ」

音符は楽斗の口元を人差し指で撫でると、その指についたクリームをぱくりと食べた。

「あ、わり、ありがと」

「えへへ、間接キスだね...」

「!!....音符...あんたね...」

音符は照れたように笑った。

(今のって....音符は意識的にやってるのか、無意識にやってるのか....)

ちょっとだけ、音符がズルイと感じた。

(あたしの気持ちなんか知らないで...)

また、少しだけ、仕返しというか、いじめたいと思ってしまった。

「あのさ、さっき強く掴んだの。あれ大丈夫?」

「うぇ?うーん...ちょっとだけ痛いけど大丈夫だよ!」

「なんかあると心配だからさ、ちょっと触らしてみ」

「え、え???また触るの??」

「なんかあったら、やばいでしょ」

「う....うん....」

音符の隣に座り、向き合うと、顔を真っ赤にした音符が少し下を向いていた。

ほんとに無防備だな.....

「力抜いて..」

「う、うん」

ふぅ、と音符が息を吐くと、胸も少し動く。

その胸に、優しく手を乗せると、音符がすこし揺れた。

「痛くない?」

「だ、大丈夫..」

そのまま、すこし揉むと、音符が少し声を出した。

息も少し荒いし、顔も真っ赤だ。

「しかしほんとにデカイな」

「も、もー!!やめてよ〜!!」

「悪い。でも気持ちいいよ、この感触」

「うぅ....がくとのえっち!!」

むにゅ、むにゅ、

「ぅ....ぅ..ん....」

むにゅ、むにゅ、

「ひ、....ん....!」

ぎゅむ!!

「ひゃん!?...も、お触りタイムおわりー!!!しゅーりょー!!ここから先はお金取ります!!!!!」

「えー、ケチ」

「おわりおわりなのーー!お菓子食べるー!!」

真っ赤な顔のままお菓子の爆食いを始める音符を見ながら、楽斗は


(さっきのは....完全に喘ぎ声ってやつだよな...)


と、先ほどの音符の声について考えていた。

反省は全くしていなかった。

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