第16話
あれから3日が過ぎた。
楽斗はぼんやりと天井を見つめ、時々携帯を気にしたりしていた。
自分の欲望に勝てず、音符の胸を触り、自分がレズだと知った日から何となく気まずくて音符と連絡が取れずにいた。
「.....はぁ.....」
何だか、自分らしくない。
音符の事は好きだけど、これからどう接して良いのか急にわからなくなった。
音符は気にしてないと思うんだけど。
(音符に会いたい.....)
女々しい自分に嫌気が指す。
会いたいなら言えば良いだろ!!
そう思い、音符とのトーク画面に飛ぶが、文字が打てない。
(なんて書けば良いんだ.....)
色々考えるが、結局わからなくなってトーク画面を閉じる。
(めんどくさい.....どっか行こうかな....)
楽斗は立ち上がると、財布と携帯をズボンのポッケに突っ込み、家を出た。
・
・
・
着いたのは近所の公園。
自販機で炭酸を買うと、木陰のあるベンチに座った。
今日も暑い。
遊具が熱くなって使えないのか、公園には子どもがいなかった。
いるのは楽斗と、散歩中の老夫婦だけだ。
プルタブを開けると、プシュッ!と心地よい音と水滴が飛ぶ。
ゴクリ、と喉を鳴らして飲むと、ぷはっ!とおじさんのような声が出た。
「やっぱ夏は炭酸だな....」
ふう、と一息ついて上を見上げると、葉の隙間から太陽の光がキラキラとして見えた。
そのまま少し目を閉じる。
モヤモヤとした気持ちが、だんだんと抜けて行く気が...
もにゅ
「!?」
ぐいぐい
「んーー!!!」
突然顔に何か重くて柔らかい物がのしかかり、息ができなくなった。
いきなりの事に頭が追いつかず、思いきり顔の上の物体を鷲掴みにする。
「あん!!!!いたいよぉ!!!がくと〜〜!!!」
「は!!?!!音符??」
体勢を立て直し後ろを向くと、涙目で胸を押さえる音符がいた。
「は??なにやってんの??」
「がくとひどいよ〜!!胸取れちゃうかとおもったよ〜〜!!」
「あ、ごめん。で?なにやってんの?」
「がくとに会いに来たよ!」
と、元気よくピースをする音符。
答えになってねぇよ...。
「あのね!がくと連絡くれないから、やっぱりあの日はお熱があって、今きっとひどい熱で寝込んでるとおもって会いに来たよ!」
「いや熱があるやつのところ行くなよ...無いけど...」
「がくと元気そうでよかった〜、がくとのお家行こうとしたらこんな所にいたから元気なんだー!って嬉しくなっちゃって!」
「あ、そう....」
音符の方がよっぽど熱あるんじゃ無いかな...。
「がくと用事あるの?わたし帰った方がいい〜??」
「いや、無いけど....じゃあ、家くる
...?」
「わーい!!あのねー、お菓子買ってきたから食べよ食べよ!」
なんだろう......
音符に危機感が無くて心配だ....
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