第15話

音符は自室のベッドの上で、暗い天井を見ながら考え事をしていた。

もちろん、今日の楽斗のことについてだ。

(い、いきなり胸触りたいって...がくとどうしたのかな....)

自分の胸を、優しく揉んでみると楽斗に触られた時のことが生々しく思い出されて、どきどきした。

身体が熱い。

恥ずかしい、楽斗に触られた時、気持ち良いと思ってしまった....

もっと、とも思ってしまった....

(変態みたいだなぁ....わたし....)

あの後、居た堪れなくなって、すぐに帰ってしまったけど...

ほんとは...もっと....

「って!!!わわわたしのヘンタイ!!!やばいやばいもっとってなんなの!!??」

「音符!!うるさいわよ!!早くご飯食べに来なさい!!」

「は、はーい!!」

母親に叱られ、下に降りるとテーブルの上には、サラダと冷やし中華が乗っていた。

「わぁーい!!サラダ!!冷やし中華!!」

「早く席に座りなさい。あ、麦茶取って来て」

「うん!麦茶〜麦茶〜」

冷蔵庫から麦茶を出すと、コップを持ち席に座って注ぐ。

「はい、おかあさんの」

「ありがとう」

「これはわたしの」

「プリンはしまってきなさい」

「すぐに食べるからプリンはわたしのところ」

「しまってきなさい」

「....はぁい」

渋々、プリンをしまいに行く音符。

母親は戻ってきた音符を見て、夕飯を食べ始めた。

「冷やし中華おいしい!これ好き!」

「よく噛まないと喉に詰まるわよ」

夕飯を食べ終わり、お風呂に入る。

夏は暑くて、お風呂はシャワーだけという人も多いが、音符は湯船に浸かって長風呂をするのが好きだ。

「今日は、これ!パイナポー♪」

パイナップルの香りの入浴剤を入れて疲れを癒す。

今日は、本当に疲れた...

疲れたというか、なんというか。

「がくと...」

なんとも言えない気持ちが音符を蝕んでいた。

「もう....がくとのばか....」

ぶくぶく....


「こら音符ー!ぶくぶくしないの!」

「ぶぐぷ!?おかーさん急にはなしかけないでー!!!」

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