第18話

時計は20時を少し過ぎていた。

音符は、楽斗からのLINEを先程から穴が開くほど見つめていた。


楽斗:明日、泊まりおいでよ


突然の楽斗からの誘い。

最近、楽斗が少しおかしい。と思い始めている音符にとってこの誘いは、さすがの音符でも何かの意図があることは分かっていた。

「うーん....がくとは触るの好きなのかなぁ....」

自分の胸を少し触って見るが、特に何も感じなかった。

ただ、楽斗に触られると話は別だ。

体が熱くなる。

もっと触って欲しい、と思ってしまう。

ずっと、こんな気持ちが心の中にあった。

前々から、楽斗には少し友情とは違うものを感じていた。

確かに楽斗は、かっこいいが、他のかっこいい女の子を見ても特に何も感じなかった。

「わたし.....がくとのこと....好きなのかなぁ....」

楽斗はかっこいい女の子。そう、女の子なのだ。

音符は女の子同士の友情モノが好きだが、あくまで友情だ。

恋愛ではない。

ただ、自分は、楽斗の事、恋愛的な意味で好きなのかと、最近思い始めていた。

始まりはわからない、ただ、好きだと言う気持ちは、自然と自分の中にスッと入ってきていた。

「.....がくと.....がくとはわたしになにがしたいの....?」

ベッドの上に横になり、腕で目を覆うと楽斗に胸を触られたことが思い出されて、顔が熱くなり、体も、夏の暑さとは違う、変な熱さがあった。

「ぅ〜〜....もー!!わかんない!!」

音符は勢いよく体を起こし、携帯を手に取ると、楽斗に


おんぷ♪:泊まり行く!!


と、返事を返しすぐにお風呂に向かった。

考えるのは苦手な音符には、うじうじするより相手に直接聞くという、変な意地があった。


楽斗:りょ。じゃあ、明日10時に駅来て。昼は家で食お


.

.

.


「あ〜、まじか...」

楽斗は、携帯にうつる音符からの了解の返事を見ながら呻いた。

自分から誘ったのは承知だが、まさかオッケーされるとは思っていなかったのだ。

急に胸を揉んだりする奴の家に泊まるとか、音符は意外とユルいのか...??

いや、あたしを友達として信頼しているから....


そこまで考えて、溜息をついた。


音符からの信頼を、あたしは踏みにじろうとしている。

ただ、こんな想いずっと持って生きて行くのは苦しい。

きっと、地獄だと思う。

だから、明日決める。

音符が家に泊まっている間に、告白する。

それで、拒絶されたら.......


拒絶されたら.....?


「.....拒絶されたら.....あたし.......」



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