第6話
日曜日、朝8時20分駅前。
今日は全国的に快晴らしい。いつも登校を邪魔する強い風もなくぽかぽかと眠くなってしまうような暖かさが全身を包んでいた。
「ふあぁ....ねむい....」
目元を擦りながら朝送られてきたLINE通りの場所でがくとを待つ。
ぼけーっと地面を見つめていると、「遅れてごめん」とがくとの声。
「んふふ〜、今来たところだよ〜〜!今日もイケメンだね〜!こわいよ〜!」
「は?なんでこわいの」
「イケメンはこわいの!」
「意味わかんない」
がくとは身体つきも女の子にしてはがっしりとしているから服装もメンズ物なので完全に男の子である。
「音符もなんか、音符って感じの服だね。そんなファンシーな服どこで買うの」
「ひ・み・つ♡」
「きも」
「ひどいよ!きもくないもん!」
「そうそう、はい、これあげる」
と、がくとが上着のポッケから取り出したのはネコのキーホルダー。
「え、かわいい、なにこれ、がくとの?」
「ちげーよ、弟がくれたの。音符好きそうだからあげる」
「わーい!ありがとー!学校の鞄につけよ〜!」
嬉しそうに受け取る音符を見ていると、なんとなく頭を撫でたくなる。
気づけば、音符の頭をよしよしと撫でていた。
「え〜子ども扱い〜!でも、気持ちいいから許してあげるね」
「はいはい、よしよし」
同い年とは思えない。
なんか、妹?みたいだな、音符って。
「あ!あれ!ももかちゃんとしのびちゃんだ!」
おーい!と音符が手を振る。
音符の頭から手を離すと、桃香と忍が2人で歩いて来た。
「おはよ〜!2人で一緒に来たの〜?」
「おはよう..うん、途中で会ったから...」
「てかうちが忍を待ち伏せしてたんだけどね」
「へえ、じゃ、早速行こうぜ」
「れっつご〜!」
4人で話しながら動物園までの道を歩く。
数分歩くと、動物園専用のバス停に着いた。
タイミング良くバスが止まったので4人で乗り込む。
そこからバスに揺られて数十分、目的の動物園に着いた。
チケットを買うために受付に向かう。
高校生は500円だ。
「高校生4枚ください!」
「はい、前のお2人はカップル様ですか?カップル割引が使えますよ」
受付の女の人がニコニコと笑いながら聞いてくる。
やっぱり、がくと男の子って思われてる!ぷぷぷ!
「カップルで」
「違います」
「カップ」
「高校生4枚でお願いします」
「か、かしこまりました。高校生4枚ですね!」
「し、忍...笑ったらあかんよ...ククッ..!」
「も、桃香ちゃん...!クスッ....」
チケットを受け取ると、がくとはスタスタと足早に園内に向かってしまった。
「うわぁーん!がくと待ってよー!!」
「なに」
「おねがい怒らないで〜!ねえ、がくと〜!」
がくとの服を掴むと、むぎゅっと頰をつねられた。
「い、いひゃい!!いひゃい!!!」
「ごめんなさいは?」
「らっへらっへ!あくとがかっほひいかりゃあ!!」
むぎゅー!!!
「やーー!!ごめんらはい!!ごめんらはい!!」
「よろしい」
「い、いたい...」
つねられた頰をさする。
「ねえー!!楽斗と音符ちゃん早く行こうよーー!!」
「あ、ずるいよ〜!!まって〜〜!!」
「音符、転ぶなよ?」
いつの間にか先を行っていたももかちゃんとしのびちゃんを追って、4人で動物園と植物園を回った。
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