第10話

場所は変わって商店街。

忍と桃香は、両手にたくさんの袋を抱えていた。

「いやー、めっちゃ買っちゃったねー!!」

「う、うん...」

「あのお店この時期になると洋服とかめっちゃ安いからついつい買っちゃうんだよね!」

「わ、私も...こんなにたくさん買ったの久しぶり...」

2人は商店街にある洋服屋でたくさん買い物をした後、少し歩いて、小さな喫茶店に向かっていた。

カランカラン、とドアに付けてあるベルが音をたてる。

小さいけれど、中は花が生けてあったり、優しそうな顔の店員さんがいて、とても良い印象を受けた。

近くの席に座ると、さっそく注文をする。

「メロンソーダと、アイスパンケーキ!」

「んと....レモンティーと、日替わりケーキお願いします...」

「かしこまりました」

笑顔で店員さんが去って行くと、桃香が口を開く。

「今日は付き合ってくれてありがと!よかったよー!忍暇で!」

「私も、誘ってくれてありがとう...、とっても楽しいよ...!」

「そりゃよかった!」

暫く話していると、店員が注文した品を置いて、笑顔で去っていった。

「うわぁ〜!!うまそ〜〜!!いただきまーす!」

「いただきます」

お互いに、パンケーキと日替わりケーキ、もといマンゴーのムースケーキを一口食べる。

「ふわふわでアイスが程よく溶けてめちゃうま〜〜!!」

「桃香ちゃんレポーターみたい...うん、これもすごく美味しい...!」

「ほんと美味しそうー!ね、忍、一口あげるから忍のもちょーだい!」

「う、うん!...て、まってまって桃香ちゃん大きいよ...!!」

「え?いけるいける!ほら!口開けて!」

「え、ま、むぐ!!」

「あはは!忍ハムスターみたい!!」

「も、もぉー!!」

むぐむぐ、と苦しそうにパンケーキを咀嚼する忍。

大きく分けられたパンケーキは普段口を大きく開けない忍には苦しかったようだ。

しかし桃香はそれを面白がるように意地の悪い顔を浮かべている。

「も〜...はい、桃香ちゃん食べて」

「え、まってデカイよ、これ!」

「食べて!はい!」

「もぎゅ!!!」

スプーン大きめにすくわれたムースケーキを無理矢理桃香の口の中に押し込むと、桃香の口の端から果汁が溢れ出す。

「うわわ、桃香ちゃんじっとしてて!」

「むごむご...」

急いでナプキンで口元を拭くと、服にシミがついてないか確認する。

「よ、よかった...汚れつかなくて...」

「ごくッ....こっちも美味しい!!」

「...も、もぉ〜....」

その後、2人で店を後にし、もう一度商店街を少し回った後、互いに帰路に着いた。

自宅に着き、部屋で買ったものを整理しているとピロン!と音をたてて携帯が桃香からのLINEを知らせた。

見ると、


桃香🐧:忍ハムスター


と、忍がパンケーキを口いっぱいに含み、頰がパンパンになっている画像が送られてきた。


「...もぉー!!桃香ちゃんのばか!!」


久しぶりに大きな声を出した。

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