第29話


「....」


「....」


沈黙が2人の頭を極限まで冷えさせた。

お互いに顔が赤い。

そして目は下を向いている。


「(や、やってしまった〜〜〜!!!!どど、どうしようどうしよう!?!?い、いきなりキ、キスしちゃった....もぉ〜〜〜!!!!バカバカ!!!!!わたしのばか!!!ほんと!!!!もぉ!!!!!き、きもちわるいとか.....思われた.....かな.....)」


「......あ、あのさ」


「う!!??!!!....ん....」


「あたし...今...」


「う...ん.....」


「キス...されたのか...」


「今のことは忘れて!!!!!!ごめんなさい!!!!!いやあの、あはは....その....ご、ごめんなさい.....」


「ごめん...ちょっと...時間が欲しい...」


ちゃんと、答え出すから。と楽斗は公園を出て行ってしまった。


嫌われた。引かれた。気持ち悪がられた。


頭の中に浮かぶ言葉は、音符の瞳から涙を流させた。


両思いだと、思っていた。

ほぼほぼ、確信に近い気持ちだった。


気づくと、音符は涙を流したまま自室のベッドに横になっていた。


「おまつり....やっぱり、行きたくないなぁ...」


お祭りはもうすぐだ。

お祭りが終われば、夏休みが終わり、二学期が始まる。


このまま永遠に夜が続いて、朝が来なければ良い。


つらい、かなしい、さみしい。


少しずつ強くなっていく眠気に、音符は身を任せた。

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