第27話

楽斗からのLINEに返信をした音符は、ベットの中で瞳を閉じた。

緩い眠気と、夏の空気が音符を夢の世界へ引きずり込む。


夢の世界は、楽しかった。

わたしがヒーローになって不思議な技でみんなを守る。

みんなに手を振っていると、後ろから敵がきて、わたしに襲いかかろうとした。

咄嗟の事に目をギュッと瞑ると、歓声があがる。


「音符」


楽斗が、音符に手を差し伸べた。




「....んゥ.......」

パチッと、目を開けると、辺りが暗くなっていた。

部屋の電気をつけ、時計を見ると20時を回っていた。


「ふぁぁ.....がくと、でてきた....」


夢を思い出すと、胸がドキドキした。


「がくと.....」


LINEの通知を開くと、楽斗から返信が来ていた。


そこに、新たに文字を打ち込み、送信する。

髪を少し整え、かいものしてくる!とメモに残すと音符は家を飛び出した。



ピンポーン、とインターフォンがなった。

「楽斗ー!ちょっと出てきてくれない?宅急便じゃないの?」

「ちょ....寝起きだから大声出さないで...なんも頼んでねぇよ....」


玄関に向かい、ドアを開ける。


「はーい....え?」

「が、がくと、きちゃった....」


そこには、頰を染め、息を切らした音符がいた。


「は、話したいことあるの!」


もしかしてさっき時間を確認した時にあったLINEの通知は音符からかもしれない、と今更携帯を見なかった事に後悔する楽斗だった。

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