第26話
「ふっふ〜〜ん♩ふっふ〜〜♩宿題が夏休み終わる前に終わってる〜〜♩こんなの初めて〜〜♩」
桃香は、部屋で1人、ご機嫌に変な歌を歌っていた。
夏休みが始まってから、忍とコツコツ頑張って終わらせた課題を鞄に詰めながら、なんとなく部屋の掃除をしていた。
入学してからというもの、掃除をサボっていたせいで部屋の中は汚い。
窓を全開にし、脱ぎっぱなしだったTシャツや靴下を洗濯機に押し込む。
家族はみんな、というか桃香は一人っ子なので親は仕事だ。
普段、掃除をあまりしない桃香だが、一度やると徹底的にやる。
やればできる、というか、また掃除をするのが面倒なので頑張るだけである。
今日も今日とて暑いし、セミもうるさいほど鳴いているが、桃香は嫌いではなかった。
季節毎に変わる外の景色や音が桃香は大好きなのだ。
そして、桃香が掃除より楽しみにしているもの...それは、
「はぁ、待っててね可愛い置物たち!綺麗にして飾ってあげるからね!」
お店や通販で購入した可愛い置物だ。
それを自分好みに飾るのが桃香の楽しみである。
人形、写真立て、クッション、目覚まし時計、その他色々....
壊れた物や、要らないものを分別してゴミ袋に入れつつ、拭いたり掃いたりを繰り返す。
掃除も中盤に差し掛かった頃に、洗濯が終わり、ピーピー!という電子音が鳴る。
一旦手を洗い、洗濯物を干していく。
運良く、新しい洗剤を使うことができたので、桃香の気分も上がる。
前の物は、少し匂いが好みではなかったが、今回の洗剤は、前のものより少し高いけどとても良い匂いがする。
お母さんにはとても感謝した。
洗濯物を干し終わると、掃除を再開する。
隅々まで綺麗にして、新しい物を置いていく。
そうして、黙々と掃除をすること数時間...
「お、おわった〜〜!!!はぁー!疲れた!!」
前の部屋より、断然可愛くなった部屋を見渡し、笑顔になる。
「よし!!これで大丈夫!!」
携帯でLINEを開くと、忍に連絡を入れる。
そう、桃香はなんとなく掃除を始めた途中、新しい部屋に忍を招待したいと考えたのだ。
「お泊まりだって、大丈夫だよ〜!っと...えへへ、頑張ったうち超えらい!」
乾いた洗濯物を取り込み、畳んでクローゼットの中にしまう。
「ふい〜〜!お風呂行こっと!」
他の3人とは違い、忍の気持ちにも、音符と楽斗の関係にも気付いていない桃香の幸せな時間がまた始まる。
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