第2話

がくとと並びながら歩いていくと、可愛らしい外装のお店が目に入った。

看板には『Flower days』と書かれている。

「かわい〜!フラワーデイズだって〜!うわ〜!このおすすめのさくらのパフェかわいい〜!!食べたい〜!!」

「やっぱり結構うちらの生徒多いね。席空いてるかなー、最悪相席とかになるけど」

「がくとと一緒ならたとえ火の中水の中だよ!」

「1人で行ってきな」

「それただの地獄だよ...」

店内に入ると、やはり人も多く、席がなかった。

「申し訳ございません。只今、満席でございまして....相席になってしまいますが、よろしいでしょうか...?」

「大丈夫です」

「おっけーです!」

店員が、「少々、お待ちくださいませ」と、4人テーブルに座る2人の女子生徒に声をかけに行った。

「ん?あの制服おんなじ学校だね!しかも一年生だよ!」

「そうだね」

遠目に女の子が頷くのが見えた。

すぐに店員が寄って来て、席に案内してくれた。

「ありがとうございます〜!」

「ごゆっくりどうぞ」

席に座ると、目の前に見たことのある顔があった。

「ん??あれ??後ろの席の子??」

「...え!?...あの...えっと....」

「ちょっと音符なにしてんの」

「え?なになに??知り合いなん??」

隣の女の子がわたしと女の子を交互に見る。

「あれれ!?あなたも知ってる!!おんなじクラスだよ!!わたしの斜め後ろの子!ん?て事はがくとの後ろか!」

「ん?あ〜、桃香だっけ?そういえば見たことあるわ」

「お?そーそー!なんだ、うちも見たことあるな〜って思ったら前の席のイケメンじゃん」

「がくとが褒められてる〜!!」

「うっさい、で、隣の子は?」

「あ、えと...忍...です....」

忍ちゃんは、恥ずかしがり屋なのか下を向いてもじもじしている。

「わたしの事わかるかな〜?前の席の音符って言うんだけど...」

「う、うん...音符ちゃん、しってるよ」

「ほんと〜!?よかった〜!知らないって言われたらどうしようかと..」

「てかさ、早く頼もうぜ。腹減った」

会話を強制終了させたがくとは、メニュー表を真ん中に置く。

「わたしはね〜!わたしはね〜!さくらのパフェと〜!さくらのラテにする〜!」

「デザートじゃん。あたしはステーキとメロンソーダ」

「うちはカニカマクリームパスタと野菜ジュース〜」

「えと、私はフルーツサンドとジャスミン茶...」

「じゃあわたし頼むね〜!」

ピンポーンと、ベルを鳴らすと店員が忙しそうにやってきた。

「えっと〜、さくらのパフェとさくらのラテ...ステーキとぉ...あ!メロンソーダ!と、カニカマクリームパスタと野菜ジュース...えっと...」

「フルーツサンドとジャスミン茶」

「そうそう!それでおねがいします!」

「かしこまりました。ご注文を繰り返させていただきます...」

.

.

.

「なんかさー、音符さんが注文してるの見てると子どもを見守るお母さんの気持ちになるよねー」

「わかる」

「ねえ、がくととももかちゃんで変な事言うのやめて!!がくとが言わなくてもわたしちゃんと言えたもん!!」

「はいはい」

「てきとーに返事しないでよ〜!!」

「2人とも仲良いね、同中?」

「いや、違う。はじめましてだよな」

「うん!はじめましてだよ!」

そう言うと、ももかちゃんは少しびっくりした顔でわたしたちを見た。

「へぇー、仲良いから同中かと思った」

「そっちは?同中なの?」

「いや、違うんだよねー、知っての通り席が隣だったからさー!話して見たら仲良くなってお昼一緒してる」

忍ちゃんを見ると、小さく頷いている。

「ご飯まだ来そうにないから自己紹介しよ〜!4人とも席近いしさ!仲良くしようよ!」

「じゃあ、あたしから。名前が楽斗。ちゃん付けはあんまり好きじゃないから楽斗って呼んで。ちゃん付け以外ならなんでもいいけど」

「じゃあ、わたしね〜!音符です!魔女じゃないです!かわいいものが好きだから見つけたら教えてね〜!!」

「次うちね。うちは桃香。なんでも好きな風に呼んでいいよ。動物とか好きかなー、特にペンギンとか?」

「えっと...じゃあ、私...忍って言います..しのぶじゃなくてしのびです...よろしく..ね...お花とか..好きかな...」

「ももかちゃんとしのびちゃん!よろしくね!」

そこでタイミングよく料理が運ばれて来た。

「ねぇ〜!見て見てお花のチョコレート乗ってるよ〜!!かわい〜!!写真撮ろ〜!」

「早く食おうぜ」

「ちょい待ち!はい写真撮るよー!」

はい、チーズ!

カシャッとカメラ音が鳴ると、ももかちゃんが後で送るからLINE教えてーと言って来たので4人でLINEグループを作った。

「しのびちゃん、これあげる」

「え...?」

「お花のチョコレート!お花好きなんだよね?あげる!」

「でも、これ、音符ちゃんの...」

「忍、貰っときな。絶対美味いから」

「えと...うん、ありがとう、音符ちゃん、じゃあ、これ、あげるね」

はい、と渡された苺のフルーツサンド。

「わーい!ありがとー!しのびちゃん!」

パクッと一口食べると苺の程よい酸味と生クリームの甘みが加わり空腹なこともあってひどく美味しく感じた。

「がくと、ステーキ熱くないの?」

「熱い」

「楽斗ってMなの?ゆっくり食べなよ」

「腹減ってんの」

「がくと、口開けて、はい、あげる」

口を閉じると、甘くて冷たいアイスクリームが舌を冷やす。

「ありがと。でもステーキはやらん」

「べーだ!いいですよー!!」

「...仲良いね....」

4人で仲良く話しながらご飯を食べ終わり、それぞれの帰路に着いた。

わたしとしのびちゃんは偶然にも同じ電車だったので、しのびちゃんが降りる駅まで楽しく話を続けた。

その日の夜に、新しいLINEグループのチャット画面に4人で撮った写真が送られて来た。


おんぷ♪:今日はとっても楽しかったよ〜!またどこか行きたいな〜!

楽斗:来週、動物園の中に新しい植物園みたいなの出来るらしいよ。CM流れてた

桃香🐧:まじ!?動物園行こう!

忍:植物園...見に行きたいな....

楽斗:じゃ、決定。また明日話そ。

おんぷ♪:うん〜!!おやすみ〜⭐︎

桃香🐧:オッケー!おやすみ!

忍:おやすみなさい

楽斗:おやすみ


LINEを閉じると、ベッドの上に寝転がる。

お友達が出来なかったらどうしようかと思ったけど、がくとのおかげでお友達が増えてよかった。

時刻は20時半。まだ寝るには早かったので、鞄の中から今朝読もうとしたライトノベル『俺がクマの人形に!?もうどうにでもしてくれ〜!!!ーCASE1 美少女ロリとー』を取り出して読む。


そうして半分ほど読んだあたりで睡魔が襲って来たので、本を鞄の中に戻し、ベッドの中で瞳を閉じるとすぐ意識は夢の世界へと消えた。

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