祝福してよ!世界様!
暦 魅月
第1話
とある町のとある私立高校。
桜舞い散る春...舞い散るというか強風で無理矢理花びらが飛ばされ、舞い散るよりただただ散らされている中、入学式を終えた新入生達は興奮冷めやらぬ表情で、担任を待っていた。
『席は自由に!ただし静かに待つこと』と書かれた黒板の隅の方には、
『ちょっとだけなら、おしゃべりしてもいいよ(^-^)』
と書かれており、それを見つけてからはそれぞれ近くの席の人と話したり、はたまた話しかけるのが苦手な人は、読書をしたり鞄の中身をいじったり、携帯を見たりしていた。
そして、わたしも買ったばかりのライトノベルが気になっていたので(あと、話しかけるのが恥ずかしい)、さっそく読むぞ〜!とページを開こうとした時、隣から「ねえ」と声をかけられた。
「ふ!?...わたし?」
「え、うん。なんかごめん。それ、読むの?」
「え!?あ!う、よ、読まない!!」
突然、隣のイケメンに話しかけられて思わず変な声出ちゃったし、あからさまに動揺しておかしな行動を取ってしまった...。
わたしは持っていた本を、ズボッと鞄の中に押し込むと隣のイケメンくんは笑って、
「なんでそんなに驚くの?あんたおもしろいね」
と、どこぞの乙女ゲームですか〜!?と言いたくなるようなセリフを吐いた後、右手を制服のポケットの中に突っ込み、何かを取り出した。
「はい、これ。あげる。これからよろしくね」
「あ!アメちゃんだ〜!ありがとう〜!」
「アメちゃんて、そんなに嬉しいの?まだあるけどあげようか?」
「ほんとに〜?!やった〜!アメちゃん大好き〜!!」
「なんか、子どもっぽいね」
イケメンくんはポケットの中からアメを5個取り出すとわたしの手のひらに置いた。
「アメちゃんいっぱい〜!....え?」
「なに?なんか食べれないのあった?」
「え?アメちゃん食べれるけど...」
「じゃあ何?」
わたしはイケメンくんの下半身を見たまま、
「なんでスカート履いてるの?」
と、言うとイケメンくんは大笑いしながら、
「なんでって、あたし女だからに決まってるじゃん。ほんとはズボンにしたかったんだけど、ここは女子はスカートって決まってるからねー」
...え?
「女の子なの...?すごくかっこいいよ...???」
「今の褒めてくれたの?ありがと。だけどあたし女だから。てか、自己紹介してなかったね。あたし楽斗、名前も男みたいだからちゃん付けはやめてな」
「芸能人の名前みたいだね...。わたし音符っていうの!あ、魔女じゃないよ!ほうきで空飛べないからね!」
「へぇー、変わった名前だね。あたしも見てたけど。じゃ、音符、2回目だけど改めてよろしくね」
「うん!よろしくね!がくと!」
「音符の声で呼ばれると、子どもに呼ばれてるみたい」
「え?ちょっとひどくない??」
と、話しているうちに、教室のドアが開き担任の先生が入ってきた。
若い女の先生で、とても可愛らしい先生だった。
よかった...めちゃくちゃ怖い先生来たらどうしようかと思った...
その日は簡単な連絡事項だけで終わり、お昼を少し過ぎたあたりで学校が終わった。
お腹すいたな〜、何か食べたいな〜、と思いながら席を立つとがくとに、
「ねえ、この後暇?昼飯一緒に食いに行かない?」
「がくとは、ナンパ師みたい!おねーさんついていくよ!」
「ナンパ師ってひどいな!あたしは子ども誘拐してる気分」
「子ども誘拐してるってそっちもひどいよ〜!!ねー!どこいく?どこいく?」
「ここのさ、近くにパフェの店できたの知ってる?」
「う〜、わたしこの近くじゃないからよくわからない...でもパフェは食べたい!パフェ大好き!」
「安いしパフェ大きいし人気なんだよ。昼飯にパフェもどうかと思うけど、ランチとかも結構あった気がするから行こうぜ」
「いく〜!!パフェ〜!!」
「ほんと子どもみたい」
と、いうがくとの言葉は無視して、わたしはがくとの後を付いていった。
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