45 オレオレ・七夕・花火

【オレオレ】


 トゥルルル〜……。

 五月家の電話が鳴っています。

 メイドさんが出ます。


「もしもし」

『あ、俺俺』

 電話の相手が言いました。

「誰?」

『だから、オ・レ。息子』

「ご、五月様の息子!?」


 ブチッ!

 びっくりしたメイドさん、とっさに電話を切りました。

『・・・』


 メイドさん、五月先生のところにすっ飛んでいきます。

「五月様ぁ〜、かくかくしかじか……」

「そーか、ちゃんと撃退できたな。いーこいーこ」

「……?」

 皆様もお気をつけください。




【七夕】


 五月先生の家の裏には、笹が生えています。

「五月様、短冊に願い事書いて飾りましょ」

「やだ」

 五月先生、即座に拒否です。


「な、なぜでございますか?」

「お前、あとで絶対見るんだもん」

「そ、そんなこといたしません」

「じゃあ、お前が先に書いて吊るせ」

「え〜っと、それは……」


「だろ?」

「今年はやめましょうか……」

 おふたり、願い事叶わなくてよいのですか?


 結局、短冊は一枚だけ吊るされました。

〈健康に過ごせますように〉

 無難な願いことです。




【花火】


「五月様、花火しましょ。お水とマッチ」

 おふたり、庭に出て花火の準備です。


「ロウソクは?」

「そうでございました」

「火がなきゃ始まらないだろ」

「あ……買い置きが切れております……」

「これは?」

 五月先生、戸棚の中のキャンドルを見つけました。


「そ、それはこの間のアロマキャンド……」

「さ、やるぞ」

 パチパチパチ……。

 おふたり、花火を始めました。


「ねぇメイド、すいか食べたい……」

「えぇ、すいか食べたいです……」

 メイドさんがアロマのお店で気に入った、すいかの香りのキャンドルです。

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