13 じゃがいも三昧・のっぺらぼう・サプライズ

【じゃがいも三昧】


 五月家、お夕飯です。

「いただきますでございま〜す」


「コロッケ、ポテトサラダ、みそ汁の具まで……じゃがいも」

「五月様、じゃがいもお好きでございましょ」

「そりゃ好きだけど、なあ知ってるか?」

「何をでごじゃいまふか?」

 メイドさん、お口お口。


「一日三十品目」

「知ってほりましゅとも!」

 だからメイドさん、頬張り過ぎですって。


「で、このメニュー?」

「ご不満なら売れるものお書きくださいませ」

「……」

「ご不満でも?」

「いえ、いただきます……」

 五月先生、ファイト!




【のっぺらぼう】


「メイド?」

 夜、五月先生がメイドさんを探していおります。

 居間にも、お台所にもいません。

「自分の部屋か? 入るぞ」

 ギィ……。

 メイドさんの部屋の扉をそっと開けました。


「明日……」

「な〜んでござ〜いますか〜?」

 メイドさんが振り向きます。

「しょえー! のっぺらぼー!」

「失礼でございますね」


 ペリペリ……。

「あっ、フェイスパック」

 は〜、びっくりしましたね。


「ご自分だって、時々隠れてしてるくせに」

「な、なぜ知っている……」

 五月先生、フェイスパックしてるの?




【サプライズ】


 五月先生の書斎です。

 デスクトップパソコンの画面に一枚、付箋が貼ってあります。

「何だ、この紙?」


 《引出しの中を見ろ》

 五月先生、机の引き出しを開けます。

「また紙だ」


《パソコンの裏を見ろ》

 五月先生、手を伸ばします。

 ペリッ……。

《クローゼットを開けろ》

 五月先生……フリーズしました。


「……面倒くちゃい」

 五月先生、付箋を丸めてゴミ箱に捨て、書斎を出て行ってしましました。

「バースデーサプライズ失敗です。五月様は探し物が苦手でございました……」

 メイドさん、残念でした。

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