07 カラスとカエル・ボタン付け②・つつじ

【カラスとカエル】


 メイドさん、庭に何かを見つけたようです。

「五月様、たいへんでございます! 庭にカラスが!」


 おや、ほんと、でっかいカラスです。

 ぶっといくちばしで、土をつついています。

 虫でも探しているのでしょうか。


「ほー、珍しいな」

「五月様見て! カエルのおなかを突いています!」

 ほんと、たいへん、カエルが……。


「仕方がない。弱肉強食、自然の摂理だ」

「この間は、あんなに仲良く合唱したのに……」

「そっち?」

 メイドさん、あれは別に仲良く合唱していたわけではなく……。




【ボタン付け②】


 洗面所で、五月先生がおめかししています。

「今日はお出かけ。あのジャケット着てこう」

 今日は五月先生、同窓会です。

 

「……ない……ない」

 おかしいですね。

 確かあの時、メイドさんがクローゼットにしまっておいたような……。


「メイドぉー」

「あーい、なんでございますか?」

「この間、ボタン付けてくれた無地のジャケットは?」

 メイドさん、自分のお部屋からなにやら出してきました。

「春ですし、華やかに水玉柄にしてみました」


「いや、これはどう見ても血痕……」

「……すみません」

 チクチク、イッは、指を刺してましたか。




【つつじ】


 最近の五月家のお庭は、つつじが見ごろです。

 大小、三本のつつじの木があります。

「五月様ぁ、このつつじ、わたくしに似ていると思いませんか?」

 一番花の大きいつつじを指して、メイドさんが言いました。


「どういうところが?」

「んーっと、ピンクなところが……」

 ピンクなところってなんでしょう?


「あ、あと、フリフリなところが……」

「意味がわからん!」

 五月先生に同じ。


「……ええ、自分でも」

 メイドさん、よく考えてから発言しましょうか。

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