08 柏餅・愛車・秘伝薬

【柏餅】


 今日はこどもの日です。

 五月先生とメイドさん、お散歩がてら商店街にお買い物に来ています。

「五月様、和菓子屋さんです」

「ああ。ん、柏餅買おう」

 柏餅、美味しいですよね。


「柏餅はやっぱり、みそでございますよね」

「いや、柏餅といったらあんこだろ」

「みそです!」

「あんこだ!」

 おやおや、みそ・あんこ合戦勃発です。


「お客さん、子供相手に大人気おとなげない」

「・・・」

 お店の人に呆れられてしまいました。

「子供じゃないもん」


「一個ずつな……」

「一個ずつください」

 わたしは草餅のつぶあんを一個……。




【愛車】


 通りすがりの家の駐車場に、二台の車が並んでいます。

 ピカピカに磨かれています。

 持ち主はさぞ車好きなかたなのでしょう。


「五月様! この車ウーパールーパーでございますよ!」

「は? 何?」

 メイドさん、そんな名前の車はないと思いますけど?


「ほら、あれです。有名な、大泥棒の孫っていう漫画の……」

「もしかしてミニクーパー?」

 あー。


「それです! なんとかパーだと記憶しておりましたから……」

「何ともお前らしい覚え方」

「あは」

 メイドさん、なんとかパーって……。

 わかってしまう五月先生、毒されてますね。




【秘伝薬】


 季節の変わり目には風邪引きさんが多いです。

「ケホケホ……」

 五月先生もちょっと咳が出るようです。


「ケホケホ……」

「五月様、どうされましたか?」

「風邪引いたみたい」

「大丈夫でございますよ。ちょっと待っていてくださいまし」

「ん」

 メイドさん、お部屋に何かを取りに行ったようです。


「これです。わたくしのばば様の秘伝薬をお飲みになれば、すぐに治りますですよ」

 なんか不気味な響き、秘伝薬。

「それ、何でできてる?」

「トカ……いえ、さあ早くお飲みください」

「とか?」


 あ、五月先生、やめておいたほうが……。

「ゴクッ……」

 飲んじゃっいました……。

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