文月

42 白髪発見・趣味・成人です③

【白髪発見】


 五月先生、パソコンに向かっています。

 メイドさん、五月先生の書斎をそーっとのぞいています。

「五月様、執筆頑張っていらっしゃいますね」


 ヒラヒラ〜

 五月先生の頭の後ろに、なにやら細くて白いものがなびいています。

「も、もしやあれは白髪?」


「ふぁーあ」

 ポリポリポリ……。

 五月先生、あくびをして頭をかきました。

 ハラハラ〜

 細くて白いものが、床に落ちていきました。


「ほっ。糸くずでしたか……よかったです」

 五月先生、そろそろ心配なお年頃。




【趣味】


 メイドさん、雑誌を読んでいます。

 特集【年を取らない秘訣は趣味を持つこと】のページです。

「なるほど」

 記事を読み終わって、メイドさんはうなずきました。


 メイドさん、新聞を読んでいる五月先生に尋ねます。

「五月様の趣味は何でございますか?」

 先生が答えます。

「んー、趣味らしい趣味ってないなぁ……」


「なんでも良いから持ちましょ! ね、ね」

メイドさん必死です。

「明日おじいちゃんになっちゃいます」


「なるかぁーっ!」

 大丈夫ですよ、めいとさん。

 五月先生は実年齢より、ずっとお若いです。




【成人です③】


「メイドにも携帯電話持たせるかな」

 五月先生が言いました。


「わたくしスマホがいいです」

「よし、一緒に買いに行こう」

 おふたり、駅前の携帯ショップへ出かけます。


 二十分ほど待って、順番がきました。

「スマホください」

 店員さんに向かって、メイドさんが言いました。

「スマホですか? えーっと、お子様用携帯電話のほうがよろしいかと……」

 五月先生に向かって、店員さんが言いました。


「わたくし成人です!」

「れっきとした成人です!」

 五月先生が保証します。

「失礼いたしました」

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