38 車の免許・火事・成人です①

【車の免許】


「自転車がダメなら、わたくし車の免許取りますです!」

 メイドさん、突然の宣言です。

 五月家には、中古の軽自動車があるにはあるのですが……。


「ダメ!」

 自転車ですらダメなのですから、当然の答えですよね。


「なぜでございますか?」

「自転車よりもっと危険だから」

「そんなことございませんよ。ちょっと運転席失礼いたします」

 メイドさん、運転席に座ります。


「どの道ダメじゃん」

「あ、足が届きません……」

 メイドさんちっこいですから。(これも何回目?)




【火事】


 ウゥー、ウゥー……。

 近くでサイレンが鳴っています。

「五月様、消防車! 火事でございます!」

「近いのかな? よし、二階から見てみよう」


 パタパタパタ……。

 五月先生、階段を上がります。

 ベランダに出て、周囲を確認します。


「うーむ、煙は見えない。サイレンも遠ざかった。現場は遠いな」

 パタパタパタ……。

 五月先生、安心して下りてきました。


《リュック・枕・懐中電灯》

 メイドさんの格好です。

「五月様、避難……」

「用意周到だこと……」




【成人です①】


「ちょっとちょっと君」

 メイドさん、駅前交番の新任お巡りさんに引き止められました。

「お家の人は?」

「へ?」

「ちょっといらっしゃい」

「え?」


 メイドさん、交番の椅子に座らされました。

「ですから、わたくし成人です」

「嘘はダメだよ」

「嘘ではございません」


 巡回に出ていたベテランお巡りさんが、巡回から帰ってきました。

「おやメイドさん」

 メイドさん、事情を説明します。


「わたくし成人です!」

「れっきとした成人です!」

 ベテランお巡りさんも保証します。

「失礼いたしました」 

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