20 手作りパン・満月・オムライス

【手作りパン】


 コネコネ、コネコネ……。

 メイドさん、お台所で奮闘しています。

「何してる?」

「五月様、パン生地をこねているのでございます」

「やった! 焼きたてのパン好き」


 コネコネ、コネコネ……。

 メイドさん、粉まみれです。

 こねあがったら、生地を発酵させます。

 成形して、もう一度発酵させます。


 チーン……。

 四十分ほどして、オーブンが鳴りました。。

 パンが焼けました。


「ほぉ? 湯のみ型のパン?」

「はっ! 陶芸と間違えました」

「なんつー間違い……」

 途中で気づくでしょう、ろくろもないし。




【満月】


 月がとっても明るい夜です。

「メイド、今夜は満月だ」

「どこかで狼男が変身していますね」


「そうだな。お前なら何に変身する?」

 五月先生、今夜はちょっぴりロマンチストです。

「可愛いうさぎさんでございます」

「あ?」


「ですから、可愛い……」

「二度も言うな! 月に行って一生餅ついてろ」

「あ〜れ〜」

 メイドさん、五月先生に突き飛ばされました。


「こないだは可愛いって言ってくれたのにぃ〜」

 五月先生、いつそんなこと言いました?

「言っとらん!」




【オムライス】


 五月家のお夕飯です。

「お帰りなさいませ、ご主人様」

 どこかで聞いたことのあるセリフです。

 メイドさん、五月先生は出かけていたわけではないですけど?


「お、早速ア◯バの影響出たな」

 あー、なるほど。

「今夜はお絵描きオムライスでございます」

「すなっ!」


 メイドさん、メモを片手に……。

「まずはハートに、次はお名前」

「だから、すなっ!」

 ブシュッ!

 残り少なかったケチャップが飛び散りました。


「あーあ、だから……」

 メイドさん、ケチャップまみれです。

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