12 ファンレター①・実家の荷物・母娘

【ファンレター①】


 ぽぁん……。

 五月先生のパソコンが鳴りました。

「おっ! メールだ」

「ファンレターかもしれませんね、五月様」

 ほ、もしかして初ラブレターですか?


「何々? わたくしは五月様の作品が大好きでございます……」

 ほ、まさしくこの書き出しはラブレターですが……。

「……って、思いっきしお前の文面ではないか!」

 やっぱり。


「さてはこの間のパソコンだな」

「うっ、バレた……」

 メイドさん、バレバレです。


「やっと送信の仕方がわかったので……」

 メイドさん、機械おんちです。




【実家の荷物】


 ピンポ〜ン……。

「あ〜い」

 宅急便です。


「実家から荷物、助かる助かるです」

 中身はなんでしょう?

「えっと、じゃがいも玉ねぎ、にんじん」

 メイドさんのご実家は、山間の地域です。

 農家ではありませんが、庭に家庭菜園があります。


「今夜はカレーですね」

 カレー、いいですね。

 お子ちゃま舌の五月先生も、さぞかしお喜びでしょう。

 おや? まだあるようです。


「と、桃の缶詰。大好物です。で、毛布、湯たんぽ、綿入り半纏……」

 今は何月ですか?

「母様、とっくに冬終わったんですけど……」




【母娘】


 トゥルルル〜、トゥルルル〜……。

 カチャ……。

 メイドさん、早速実家にお電話です。


「はい、もしもし」

「あ、母様?」

「おや、元気かい?」

 メイドさんの母君は一人暮らしをしています。


「あい。荷物ありがとうございましたです」

「いいんだよ」

「ですが、毛布や湯たんぽはもう必要ないですよ」

「お前さんだって、母の日のプレゼント届いたけど……」

「気に入っていただけましたか?」


「気に入るもなにも、この時期にマフラーってどうなの?」

「・・・」

 どうやらこの母娘、超似た者親子のようです。

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