18 ア◯バ②・ア◯バ③・ア◯バ④

【ア◯バ②】


 五月先生とメイドさん、メイド喫茶に入りました。

「お帰りなさいませ、ご主人様」

 メイド服の女子が満面の笑みで出迎えてくれます。


「ふふ、おんなじ」

「アイスコーヒーとクリームソーダ」

 五月先生、飲み物をオーダーしました。

「かしこまりました」

「五月様、それお好きですね」

 フリフリのスカートをなびかせながら、店員さんが奥へ引っ込んでいきます。


 程なくして、トレイを持って戻ってきました。

「クリームソーダでございます」

 店員さん、メイドさんの前に置きました。

「違います……」

「私のだ……」


「・・・」

 店員さん、困惑しています。

「悪いか?」




【ア◯バ③】


 メイドさん、アイスコーヒーを飲みながら、メイド喫茶の店内を見回しています。

「あ、五月様、あれが有名なお絵描きオムライスでございますよ」

「ふーん」


 チュー……。

 五月先生も、ストローでクリームソーダを吸っています。

「まずハートの形を描いて、次にお名前……」

「ふーん」

 チュー……。


「あっ! 五月様見て、店員さんがあ〜んして差し上げていますよ」

「ふーん」

 チュー……。


 ズズッ……。

 五月先生、メイドさんの行動に目が点です。

 カキカキ、カキカキ……。

「メモすなっ!」

 メイドさん、熱心すぎ……。




【ア◯バ④】


「ア◯バ、楽しかったです」

「お前、あそこでならバイトできるな」

 メイド喫茶を後にして、お目当のプリンターのお買い物も終えました。


 五月先生とメイドさん、駅に向かっています。

「ねえキミ、メイド服似合ってるね、どこの店?」

 男性が声をかけてきました。


「いえ、どこでもありません……」

「じゃあ、うちで働かない?」

「働かない!」

 五月先生が割って入り、強い口調で言いました。


「五月様、もしかしてヤキモチ?」

「うっせ! そんなんじゃない」

 メイドさんがいなくなったら、すぐに五月家がゴミ屋敷になるからです。

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