14 おなか・ファンレター②・ファンレター③

【おなか】


 五月十五日は五月先生の誕生日です。

「五月様、お誕生日おめでとうございます」


 メイドさん、今日もお料理頑張りました。

 食卓には、五月先生の好きなメニューがてんこ盛りです。

 でも、ちょっと張り切りすぎ。

 ふたりでは食べきれない量です。


「けぷー、おなかポンポン」

「五月様、そんなおなかポッコリではモテませんよ」

「お前がいる」

 せ、先生?


「五月様、う、うれしぃ〜でございますぅ〜」

「もし私が結婚しても、一緒にいような」

「そ、それはどうでしょう……」

 五月先生、その発言はいろいろと誤解を招きます。




【ファンレター②】


 午後になると、郵便屋さんが配達に回ってきます。

 五月先生が郵便受けを開けました。

 今日は五通ほどが届いたようです。


「請求書にDM、これは何だ?」

「ファンレターかもしれませんね?」

 メイドさんが玄関まで出てきました。


 ピリピリピリ……。

 五月先生、早速開封してみます。

「どれどれ、わたくしは五月様の作品が大好きでございます……ってだから!」

 はー、またですか。


「そうか、この間の文房具屋だ」

「わたくしには、それしか書けないのでございます……」

「じゃあ、もう書くな」

「あい」

 メイドさん、便箋と封筒の無駄ですから。




【ファンレター③】


 書斎のパソコンに向かう五月先生、うなだれております。

「メールに手紙、まったくメイドには困ったものだ……」

 五月先生、まだファンレターというものをもらったことがありません。


「だが、ファンレターの一通もこない作家じゃ、あやつが心配になるのも当然だな」

 まあ、そうなりますねぇ。


「よし! メイドのためにも、いい作品書くぞ!」

 先生、ファイト!


 メイドさん、またこっそり覗いております。

「五月様、お頑張りくださいませ。メイドは一番のファンでございますよ」

 ここにもうひとりおりますよ。

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