27 ツンデレ・お説教・停電

【ツンデレ】


 メイドさんが実家から戻ってくる日の午後です。

「ただいまでございますぅ〜」

「やっと帰ってきた!」

 五月先生、嬉しそうです。


「お前の料理が食べたかったぞ」

「うふ、美味しいものいっぱい作りましょうね」

 メイドさん、ヒロシの野菜を少しだけ持って帰ってきていました。


「うま。やっぱこの味が一番」

 メイドさん、ちっこいけど、お料理はほんとに美味しいのです。

 あ、失礼、ちっこい関係ないです。


「五月様ぁ〜」

 メイドさん、五月先生にピトッとしました。

「引っ付くな暑いっ!」

「……これをツンデレというの?」

 言わないと思います。




【お説教】


 五月先生がデレしてあげていれば、こうはならなかったと思います。

「洗い物は中途半端、ゴミは散乱」

 メイドさん、角が生えました。


「そうか? 私はちゃんとやったぞ」

「お皿に油が残っています」

 五月先生、上っ面流しただけです。


「燃えるゴミと燃えないゴミがごっちゃです」

 きちんと分別しましょう。

「お部屋の換気もしてないみたい」

 さては雨戸開けるの、手を抜きましたね。


「クドクド……」

 メイドさん、もうそのくらいにしておいたほうが……。

「もっかい帰るか?」

「い、いいえ……」

 ほらぁ。




【停電】


「停電!」

 突然電気が消えました。

 五月先生とメイドさん、二階に上がってベランダに出ました。


「お隣さんも真っ暗です」

「ん」

「街灯も消えて、一帯が真っ暗でございます!」

「慌てるな。ほら見てみろ、星がきれいだ」

 五月先生、全然動揺していません。

 ところで、原因はなんでしょう?


「ほんと……って、ライフラインがないと生きてゆけません!」

「そのうち点くだろ」

「電気よ点け! の念。ンンン〜〜〜、バッ!」

 出ました、メイドさんの念。

 これ、結構効き目があったりします。


「点いた! メイドすげー」

 どこかの家でネズミが配線をかじり、ショートしたのだそうです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る