お風呂場で♥

 買い物が終わり、僕は非常に疲れてベッドに横になる。先にお風呂に入れないだろうか。汗をかいているし。そう思ってシーナさんに聞くと、すでに準備されていた。恐るべし、シーナさん。僕らが買い物で疲れて汗をかくことを予想していたのだろう。


 とにかく、助かった。僕はお風呂場に向かって服を脱ぐ。おっと、その前に誰か入っていないか、確認しないと。ぱっと見、いないようだ。かごに服とか入ってもいないし。


 念の為、風呂場のドアをノックする。反応なし。いないな。


 安心して僕は風呂に入る。体を洗って、ゆすぐ。ふぅ……。


 そしてゆっくりと湯に浸かる。あー、疲れが取れるねー。……年寄りかよ。しかし、今日は疲れた。何か色々あったし。精神的にも疲れた。肉体的は当然として。


 ぼーっと、窓の外を見る。夕日が綺麗だ。しかし、これだけ広いと何か泳ぎたくなってくるよね。そんなことない? 僕はどうもそういう気分になることがある……よって、誰もいない風呂ですいすいと泳いでみた。何をやっているのだろう。童心に返るって奴かな。


 意外と楽しいものだ。やっぱり、人間子供心を忘れてはいけないね。


 そんな風に風呂場で楽しんでいると、外から声が聞こえて来た。


 え? ちょ、ちょっと。まだ、僕入っていますよ?


 がやがやと声が聞こえて来る辺り、一人や二人じゃない! 沢山だ。まずい。部活上がりの中学生か!? どうするって……どうしようも出来ないだろ……アニメじゃあるまいし、湯の中に隠れたってバレバレだろ。あ、そうだ。声! 今ならまだ間に合う!


 僕が中にいることを知らせれば!


「ちょ、ちょっと待って! まだ入ってるよ!」


「ん、なぁに~? 何か言ったぁ?」


 駄目だ、聞こえてない……聞こえてるけど、距離が離れているせいと、ドアのせいでうまく聞こえていないんだ。もうどうにもならない。


「おっ風呂~。おっふろ~♪」


 そういって、沢山の女の子達が入ってきた。アーメン。


「あ、タダヒトー!」


 女の子の一人が僕に気づいたようだ。しかし、女の子は特に気にした様子もない。


 それどころか、全裸のままだ。手を広げて見せびらかすかのような体勢。大の字になって喜んでいるので、完全に丸見えである。


 慌てて視線を逸らしたが、そこは男の本能だろう。結局、視線を戻して見てしまった。まじまじと。いやー、女の子裸体はステキだね☆


 いやいや、○学生の裸体をモロ見するとか、ヤバイでしょ。駄目でしょ。歳は大差ないっていっても……ああ、うん。何かもうそういうの疲れた。どうせここ異世界だし、法律もクソも関係なかったね。ここの法律がどうなっているか詳しく知らないけど。


「みんなー、タダヒトいるよー」


「え、タダヒトいるの? わーい、一緒にはいろー」


 そういって、どんどん来る女の子達。もう知ったことではない。一斉に風呂に飛び込んでくる彼女たち。飛び込みは危ないからやめなさい。


 この際、女の子達と風呂に入るのはよしとしよう。裸体を見てしまうのもどうにもならないし、目を瞑る? はは、冗談でしょう? 見ますよ。そりゃ。男なら。アニメの主人公じゃないですから、僕。


 それはいいとして、さすがに僕の下半身を見せるわけにはいかないのと、その下半身さんが何やら膨張して来たのをどうにかしないといけない。


 さすがにそれはアウトだろう。すでに色々アウトかもしれないが、そこはセウトとか言っておく。


「タダヒト、ぺったんこだねー」


「ねー」


「男はそういうものなの」


「へんなのー」


「ねー」


 やっぱり、中学生ぐらいの女の子達に性の勉強を教えても意味をあまりよく理解してくれないよね……そもそも性別も概念もなかった世界だから余計に。


 単純に胸のないごつごつしてる女の子という認識しかされていないんだろうなぁ。ちょっと変わった体しているぐらいの。僕は痩せているから、女の子とそこまで大差ないし。胸毛とかもないしね。下半身みたら、どんな反応するんだろうか。


 気になるが……見せるわけにも行かない。


 しかし、無防備すぎるというか……異世界から来たのが僕だからよかったものの、不良やらDQNやら、おっさんとかが異世界に来ていたら今頃犯されているぞ……想像すると興奮……もとい、ぞっとするね。


 完全に薄い本の展開じゃないですかー、やだー。……おえっ……一体、何言っているんだろう僕は。


「タダヒト、もう体洗ったのー?」


「洗いっこしよー!」


 そういって、僕にべたべたとひっついてくる女の子達。完全にハーレム状態だ。ハーレム王に僕はなる! ……なりません。ふざけている場合じゃない。というか、ふざけていないと精神が持ちそうもない。そろそろ理性も限界です。助けて下さい。


 もうこの際だから、ギリギリまで行ってしまうか……。女の子の体触るぐらいここなら許されるだろ……ふはは。ふへへ……。駄目だ、おかしくなって来ている。


 そういいつつも、触る。


「きゃっ! タダヒト、くすぐったーい!」


 これですよ。この反応。特に怒るわけでもなく、叩かれもしない。何したって許されるんじゃないの? もはや。いやいや、そんなわけないし。一線を超えるのは駄目ですよ?


 でも、ちょっとしたスキンシップぐらいいよね? いいとしよう。最近溜まりに溜まったストレスをここで発散しよう。やっほーい。


 適当に触りながら、くすずりつつも、ターゲットに迫る……それは、胸だ。


 やっぱ、女の子の触りたい部位ナンバーワンと言えば、胸だろう。異論は認めない。


 ゆっくりと、手を動かして胸まですーっと手を滑らせて持っていく……。相手はくすぐったいよーと言ってるも、悪い気はしていないようだ。いける!


 そしてついに……僕の手が胸に触れたのだった!


「きゃあ! あひゃひゃ、くすぐったいからもうやめてー!」


 至福……! 至福の瞬間である。


 なんという感触。これが胸! 今、僕は初めて幸せというものを感じている!


 ハーレム最高! ○学生最高! 女の子のおっぱい最高!


 揉む。揉んで揉んで揉みまくる。


「あんっ……!」


 段々と揉まれている女の子も感じて来ているようだった。そろそろ危ないゾーンに踏み出しそうで怖いところだが、もう少し堪能したかった。


「○○ずるーい。ボクもボクもー!」


「わたしもー!」


「ははは、みんな後で順番にしてあげるよ~」


「わーい!」


 その瞬間だった。一人の悪魔が風呂場のドアを開け放ったのは。


 誰かって? 言うまでもない……エリカ・ヴィアルインだった。


「……」


「……」


「な……」


「は、はは……」


「何を……やっているのよぉおおおおおおおおお! あんたはぁああああああああっ!」


「す、すみませんでしたーーーーーーーーっ!」


 とっさに謝っていた。本能かな? スタイリッシュ土下座しなかったのは、何かそれは悔しいからだろう。エリカに土下座? 死んでも嫌だね。そこは、男のプライドだろう。よくわからないが。


 しかし、勢い良く立ち上がったしまったせいで、タオルがとれた。


 勿論、僕の下半身がエリカにバッチリと見られてしまったのだった。


「わー、ぞーさん? 天狗さん?」


 無邪気な女の子達。恥ずかしがる様子もない。そりゃそうだろう。これが何かもよくわかってないだろうし。


 しかしエリカはそれを見て、一気に顔を爆発させた。色んな意味で真っ赤というか……怒りと恥ずかしさと……そんなとこ。怒りのが勝っていたようで。


「このヘンタイ! しねっ! 今すぐ、しねっ!」


 そういって、風呂桶を投げつけるエリカ。どうして、エリカはそんな現代の女の子みたいな反応をしてくれるのだろうか。いや、一応教えたけどさ。高校生で理解がある方なのか。それとも、同性愛を超毛嫌いしているタイプとか……。わからない。


「別にいいのにねー」


「ねー」


 中学生の女の子達は特に気にした様子もないようだった。今度から触り放題だな。ふっ……って、こらこら。でも、何かもう目覚めちゃったのかもしれない。


 そうさ、僕はただ男の欲求に答えただけなのさ。相手が嫌じゃないなら、別にいいじゃないか。って。


 そんなことを考えている場合じゃなかった。さっさと、この場を離れないと!


 僕は急いで風呂場を立ち去ったのだった。エリカの攻撃を受けながら。

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