「幻想和風ファンタジー」を含む小説

幻想集まる異界の地、逢魔時の宿場町を中心とした話から構成される『逢魔時現代神話群(いつか書く)』の中で、オカルト塗れの現代日本を行き来する鬼を描いた珍しい物語。 断片的な前世の…

この廃病院はなんだか不思議な廃病院だった。 入れば、すぐにものすごく長いトンネルがあって、それは極楽浄土に接続している。 この廃病院は、ただの廃病院ではないようだ。神聖なものなの…

★５月下旬くらいに、第二部開始します★ 　篠突く雨が降り注ぐ夜。可哀想な身の上の朱乃（あけの）は嫌われ者の黒猫にご飯を与えるため奔走していた。雨に打たれて縮こまる姿に、自分の境遇…

夢もうつつも入り混じった幻想掌編集です。和風・東洋風のお話が多いです。

昔むかし、とある海辺の町の大晦日。余四郎と寅吉は、明王様の祠を見張る「供物番」に選ばれた。二人は自分の居場所を見つけられずにいる半端者同士。町へ越してきて二年目の余四郎は、林の奥…

日ノ国の女子は１５歳頃には嫁ぎ先が決まっている皆婚社会だ。 貧乏で母のいない美和（みわ）にはよい縁談など無縁だと思われた。 しかし意外にも早くお見合話が舞い込む。 お見合相手は半…

「人の子は今日、待ち人と出会えんかもしれん」――夏休みを利用し、年上の友人である蓮花のもとを訪ねた暁更紗は、駅で出会った黒尽くめの男にそう告げられる。路地で見かけた不思議な光に誘…

お稲荷様と男は両片思い。 「泣く時は声を上げて泣きなさい。そうじゃないと、誰にも気づいてもらえないよ」と言っていたのに、男は声を上げずに死んだ。 男が死んだことを風の便りで知った…

夢十夜第一夜へのオマージュ作品。

ここは黒い太陽が輝く世界。昼は薄暗く、夜は尚暗い。 そんな魑魅魍魎と隣り合わせの世界で、妖怪退治『左団扇』を経営する二人組。 鵺使いの亜緒と、「妖殺し」の異名を持つ蘭丸。 しかし…

冬の始まりまで眠りつづける宿命を持つ〈山の民〉。朝一番に家族で出掛けるはずの〈衾雪の市〉を楽しみにするあまり、末娘の凜は夜のあいだに目を覚ましてしまう。不思議な光に誘われるように…

森や水辺に棲み、ざわめきにも似た声で鳴くという「蟲」。彼らと意思を通わせるための楽器「蟲笛」の奏者である千歳は、幼い頃から二種族の共生を夢見てきた。蟲が異様に騒ぐとの知らせを受け…

【カクヨムWeb小説短編賞2019、中間選考突破！】 【ジャンル別日間ランキング、最高第8位達成！】 シシミミ国――そこは獣耳と女の人しかいない不思議な世界。 そんな世界の遊郭…

亡き母とともに貴族の屋敷の離れに閉ざされて育った主人公は、形見の笛をめぐる因縁に巻きこまれてゆく。その果てに彼が目にしたものとは――。 昨年5月の文フリ東京で完売した合同誌『かも…

　記憶喪失の僕を苛む、『人魚姫』のごとく美しき少女の夢。 　僕は僕を取り戻すために、失踪したミステリィ作家である叔父を追って、『人魚伝説』のある山奥の隠れ里へと向かうが、そこには…

気がついたら、私は夏祭りの屋台通りにいた。自分が誰なのか、今まで何をしていたのかすら思い出せない。どうやら、ここは現実世界とは別の空間。元の世界に帰るためには、自分の面を見つけて…

鄙びたその地にましませる聖き御山のふもとには、東と西に分たれたる対の小国が根付いている。 東領の領主の血を継ぐ瞠（みはれ）は、『獣返りの子』と呼ばれる異形である。 たとえ一族の…

水底に抱かれ眠るうつくしい女に、少年は供物として捧げられた。 『山神の娘』と呼ばれる、異形の血を引く末裔の女――蝶。 蝶の『供物』たる少年、夜杜。 繰り返される言葉の、結ばれ…

君がやって来たのは、月が美しく輝く夜だった――。竹取物語をモチーフにした静かな物語。

あれはいつの記憶だろうか？まだ見ぬ何かだろうか？ 喧騒に、幻想に、消えたような、始めからなかったような、そんな小さなお話。