概要
その旋律だけが、蟲と人とを繋ぐ。
森や水辺に棲み、ざわめきにも似た声で鳴くという「蟲」。彼らと意思を通わせるための楽器「蟲笛」の奏者である千歳は、幼い頃から二種族の共生を夢見てきた。蟲が異様に騒ぐとの知らせを受けて西の森に踏み入った彼女は、不慮の事故により仲間たちと逸れてしまう。森の深部にある泉には、蟲に憑かれた「迷い子」の少女がいて――。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!久しい過去から響き合う、少女たちの旋律
「幽玄」という言葉はまさしくこの作品のためにある、光と水と少女たちの旋律が織りなすジャパネスクファンタジー。
この手のジャンルは数が少ないがその分少数精鋭で、一級品と言える作品も多い(余談ですがわたしゃ空色勾玉がすげー好きでした)。
本作もまごうことなき良作です。
遠い遠い昔、遥かな過去。だが記憶のどこかに存在する、人々が森と寄り添っていた古の時代。思い出すことも困難なほど彼方にあるそこに、たしかに我々がいたことを思い起こさせる幻想小説。
夜の闇のなかを幻のように舞い、さざめく蟲たちを想起させる光と音の描写は見事の一言。
そしてもってもっとも重要な部分、百合。
そうです百合です。…続きを読む