「平安」を含む小説

平安時代。中納言家の一の姫である彩姫には日課があった。夕暮れ時に御簾の外に出て、庭を眺めるというもの。 この日も、いつものように乳姉妹である、七里と共に眺めていると、一匹の狐が迷…

　平安時代、権大納言　花房家には、変わり者の次女がいた。 　華やかな姉、可憐な妹に比べて、地味な顔立ち。女だてらに漢詩を読みこなす彼女は、皆から、頭でっかちな「土筆(つくし)」…

平安時代、平安京の裏鬼門、呪われた土地から始まる陰陽師ファンタジー。

天慶の乱、それは時の摂関藤原忠平と近い血縁関係にあり、南海道の海賊鎮撫に功のあった藤原純友がその身の内に抱えた不満と、現地で友誼を結んだ者からの合力を求める声に応えて立ち上がった…

時は平安、飛鳥賀成通は蹴鞠《リグローブ》というスポーツに情熱を傾けていた。それは蹴鞠であって蹴鞠にあらず、鞠をひたすら成層圏まで蹴りあげ続けねばならない過酷な競技であった。整備士…

今は昔、世界の片隅に聖国(ひじりのくに)という名の国があったそうな。 時は安江。それは日本で言う平安時代と江戸時代の暮らしや文化を掛け合わせたような時代であったという。 その時代…

　異能の司書と男装の少女が出会ったとき、浮遊都市落下の真相が暴かれる……？ 　平安時代の政治と文化が続く日本は、近年環境破壊が深刻化していた。人々は櫓の上で生活し、浮遊都市の実…

裳着を済ませても未だにちい姫と呼ばれてしまう、大納言家二の姫、羽衣子。 姉である登華殿の女御に会うために参内したのを折に、出会い頭の美少年に連れ込まれたり、盗賊に襲われたり、エリ…

時は平安時代。 平民として生まれた八夜には姉のさくらがいた。 さくらは貴族である菊之丞様と情を通じ、妾として嫁ぐことが決まっていたが、その矢先、辻斬りにあって亡くなってしまう。 …

平安末期は平氏が幅を利かせる京の町。警備の行き届かない町に入り込む野盗などから刀狩りを行っていた異人の血を引くらしい風貌の山法師、弁慶はある夜、鞍馬の師匠の元から逃げ出して来たと…

時は平安初期。神泉苑で花見をしていた嵯峨天皇は、誰もいないのに揺れる鞦韆（ゆさはり）を見て疑問を抱いていた。 あやかしが見えるという文章生の青年、小野篁は高僧・空海の力を借りて、…

この世界にしてさらなる時に与えて祈りと、時代が舞うこの世界で祈りと天命に与えて命たる星の全てで与えた未来と祈りの中で道なる彼方に与えて意識たる時代といくつもの中に平安の全ての世が…

「予が目下執筆中の長篇小説の素材のひとつ、ゴルゴーン姉妹のメドゥーサが平安朝に訪れた事を記した史料の一部である」

　舞台は平安時代。投獄されていた青年・誠は昨年、新帝即位の際の大赦で放免となった。 　放免とは検非違使庁の下っ端で、「毒を以て毒を制す」という考えの下、前科のある元罪人を犯罪者…

兵部卿宮の第一子で、友成の兄の宗明。数々の浮き名を流す彼もお年頃。今日も新しいお相手を探す中で、見つけた姫君とは…。

ある所に、雪華という娘がいた。雪華は中納言家の姫であったが、数年前に父を亡くしている。母とわずかに残った使用人達とで細々と暮らしていた。 そんなある日、雪華の元に見知らぬ殿方がや…

【完結短編】 季節は秋。 主人公である中学3年の【前田龍之介(まえだりゅうのすけ)】は、京都から福岡の太宰府天満宮の地に修学旅行に来ていた。 自由時間に彼女の【清岡亜子(き…

　御世は一条。生まれつき白い髪を持ち、その姿から白絹姫（しらぎぬひめ）と呼ばれている橘晶子（たちばなのしょうこ）。しかし、日々「あやかし」や「化けもの」の噂が付いてまわっていた。…

高校生・久津野春樹は叫んだ。古文の知識は役に立たないと。春樹はその日、スマホを学校に置いて帰ってしまう。 たかがスマホを忘れただけ。その行動が悲劇を起こすことを、春樹はまだ知ら…

短編です。 宮仕えを引退し、平安京に兄と供に暮らす清少納言。 ある日、その兄・清原致信が慌てふためいてやって来る。 「源頼親に狙われている」 「あら大変。殺しの名人ではありません…