というスマホに頼りっきりな現代人、刮目して見よ。
(スマホに頼っていたからこその……というところもありながら?)
人間ってね、1000年経っても変わらないんです。
古典を馬鹿にしてはいけません。
古典っていうのは時代を超えても価値があるから、時代を超えても通じるから「古典」なんですよ。
学びなさい。
そして機器なしに伝える想いの強さを味わいなさい。
まぁはっちゃんはもう少し頑張ろうね。
さもないとかっこいい彼女はもっとかっこいい人に持ってかれちゃうよ。
ダメ男でも人が寄ってくるのは光源氏だけですから。
女は強いのも、平安時代から変わらない。
本作は、高校生の久津野春樹のもどかしい恋愛模様を描いた小説です。物語は、久津野春樹がスマートフォンを学校に置いて帰ってしまったことから展開していきます。
この物語は、スマホを忘れるという些細な行為が彼にもたらすちょっとした(?)悲劇を通じて、大切なものが浮かび上がってくるのです。大事な場面でのスマホの忘れ物に共感する読者にとっても、この物語は身に沁みるものであるでしょう。
春樹が古文の知識は役に立たないと言った短絡的な考えを持っていたことも、この物語の要素の一つ。便利な道具がなくなって、急にもどかしくなってしまう恋愛模様を通して、私たちに大切な何かを教えてくれる物語です。小説全体を通して、忘れられてしまった繋がりや、簡単に記録できるようで、実は見逃してしまいがちな大事な瞬間の意義を再確認し、それらを大切にすることの重要性を教えてくれます。
私が好きなのは、ラストシーンです。心を温かく包み込むような、素敵な展開なので、ぜひご自身でお確かめを。
まぁ、平安にまでさかのぼらなくても、昭和とか、平成初期でも良いんですけど、好きな人の声を聞くためには、連絡網から家電の番号を探して「家の人が出たらどうしよう」とか思いながらダイヤルを回して(はさすがに古すぎるか)、ドキドキしながらコール音に耳を澄ませなくてはいけなかったじゃないですか。
それがいまや。
本人直通の電話があるんですよね。電話っていうか、スマホですけど。
その昔を生きた人間としては、ああいうドキドキもある意味趣があったなと思いますし、「夜分遅くに申し訳ありません」なんて挨拶の仕方というか、人ん家に夜電話をかける時のマナー的なものを知ったのもアレだったなとか、そういうのがあるんですけど。
それで、そう、そんな命の次に大事なスマホをね、忘れちゃうとどうなるかって話なんですよ。こんなのもういまの子からしたらまさに『平安時代並に不便すぎる!』というわけでして。
「えっ、ちょっとどうなるの」とハラハラしつつ、
「えっ、あの子、そういうところあるんだ?!」と少々引きつつ、
だけど、最後は「これよ!この終わり方を期待してたのよ!」って唸っちゃうハッピーエンドです!
短編ですので、ぜひぜひ!
古文ってなんのために勉強するの?
勉強したって、役に立たないよね。
古文の活用形なんて、日常生活に必要ないし。
学生時代、そう思ったことはありませんか?
『平安時代並みに不便すぎる!』
この作品には、スマホを忘れて連絡が取れないことに焦る男子高校生が登場します。
お節介を焼いてくれる幼馴染と、可愛い後輩。
恋の三角関係が発生します。
平安時代と違って、現代にはスマホという便利なツールがあります。
気軽に連絡が取れちゃう。
和歌をしたためる時間なんて必要ない。
そんな、いつでもどこでも繋がれるスマホを忘れたら、平安時代並みに不便だよね。という話なのですが……。
でも、読後に思ったのです。
空の色が平安時代も令和も変わらず青のように、人の気持ちも変わらないんじゃないかって。
好きなのに、好きって言えない。
私のことどう思っているの?って聞けない。
恋に悩み、悶々とする時間は、きっと、令和の人も平安の人も同じ。
恋だけじゃない。
古文を読むと、令和に生きる私たちと共通する感情が出てくる。
喜び。憎しみ。苦しみ。孤独。むなしさ。
夢でもいいから会いたい。そう願うのは小野小町だけではなく、令和の時代の人も同じ。
いつでもどこでも繋がれるスマホがなくても、
古文を読むと、昔の人と繋がることができる。
そんな想像力を羽ばたかせてくれた、素敵な恋愛作品でした。
主人公の男子高校生は、絶賛古文の現代訳を書き写し中。タブレットでノートを取る時代でも、勉強の面倒くささは変わらないようだ。そんな主人公には幼馴染の少女がいた。いつも主人公を恥ずかしい名前で呼んでくる。
そんな主人公に春が来る。ある生徒から告白を受けたのだ。連絡を取り合うことにした二人だったが、主人公はスマホを学校に忘れていたことに気付く。スマホを届けてくれたのは、主人公の幼馴染だったが……。
恋愛の面倒くささは、平安時代に負けず劣らずだった!
もしかしたら、面倒なことを積み上げて互いを知るのかもしれません。
作者様ならではの一作です。
是非、御一読下さい。