その知識、本当に役に立たない知識ですか?

本作は、高校生の久津野春樹のもどかしい恋愛模様を描いた小説です。物語は、久津野春樹がスマートフォンを学校に置いて帰ってしまったことから展開していきます。

この物語は、スマホを忘れるという些細な行為が彼にもたらすちょっとした(?)悲劇を通じて、大切なものが浮かび上がってくるのです。大事な場面でのスマホの忘れ物に共感する読者にとっても、この物語は身に沁みるものであるでしょう。

春樹が古文の知識は役に立たないと言った短絡的な考えを持っていたことも、この物語の要素の一つ。便利な道具がなくなって、急にもどかしくなってしまう恋愛模様を通して、私たちに大切な何かを教えてくれる物語です。小説全体を通して、忘れられてしまった繋がりや、簡単に記録できるようで、実は見逃してしまいがちな大事な瞬間の意義を再確認し、それらを大切にすることの重要性を教えてくれます。

私が好きなのは、ラストシーンです。心を温かく包み込むような、素敵な展開なので、ぜひご自身でお確かめを。

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