私のことどう思っているの?聞けないのは、令和も平安時代も同じ

古文ってなんのために勉強するの?
勉強したって、役に立たないよね。
古文の活用形なんて、日常生活に必要ないし。

学生時代、そう思ったことはありませんか?

『平安時代並みに不便すぎる!』
この作品には、スマホを忘れて連絡が取れないことに焦る男子高校生が登場します。
お節介を焼いてくれる幼馴染と、可愛い後輩。
恋の三角関係が発生します。

平安時代と違って、現代にはスマホという便利なツールがあります。
気軽に連絡が取れちゃう。
和歌をしたためる時間なんて必要ない。
そんな、いつでもどこでも繋がれるスマホを忘れたら、平安時代並みに不便だよね。という話なのですが……。

でも、読後に思ったのです。
空の色が平安時代も令和も変わらず青のように、人の気持ちも変わらないんじゃないかって。
好きなのに、好きって言えない。
私のことどう思っているの?って聞けない。
恋に悩み、悶々とする時間は、きっと、令和の人も平安の人も同じ。
恋だけじゃない。
古文を読むと、令和に生きる私たちと共通する感情が出てくる。
喜び。憎しみ。苦しみ。孤独。むなしさ。
夢でもいいから会いたい。そう願うのは小野小町だけではなく、令和の時代の人も同じ。

いつでもどこでも繋がれるスマホがなくても、
古文を読むと、昔の人と繋がることができる。
そんな想像力を羽ばたかせてくれた、素敵な恋愛作品でした。


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