タイトルからしてバリバリのラブコメです。
堅物男子にして天才の『シュージ』の一人称が『小生』というところからコメディーをぶち込んできています。このシュージのキャラクターが実に味わい深い。理屈っぽくて浮世離れして、とにかく堅物。でも正義感は強いし、細かいところに気が付くし、なにより素直な好男子(笑)。
そんな彼に惚れるのがギャルの王道を突っ走っている『リノちゃん』。もう勉強そっちのけでギャルファッションを楽しんでいます。まぁそれなりの問題児ではありますが、友達思いのいい子でもあります。自覚はないけどかなりの美人というのも微笑ましい(笑)
いわば対極の位置にいるこの二人の恋物語が展開していくのですが、もちろん一筋縄ではいきません。周りの環境がそうはさせないのと、取り巻くキャラクターたちが波風立てるのと、もちろん作者の仕掛ける数々の罠が二人に次々に襲い掛かります。
これらのエピソードの一つ一つが面白いんです。どのエピソードも突飛なものではなく、時に社会問題を織り交ぜ、勉強の仕方なんかの実用的な知識も織り交ぜ、作者ならではのしっかりとしたタッチで物語が進んでいきます。
この辺り、多数の長編をかいている作者さんの持ち味が存分に発揮されています。さらにミステリーのスパイスをさりげなく織り込んでくるのも作者さんならではの持ち味! グイグイと先を読ませるパワーにあふれています。
長編ではありますがそれを感じさせないストーリーテリングのうまさ、読み終わった後に何とも言えない満足感が残る読後感、コンテストの度に様々な側面を見せてくれる作者さんの引き出しの多さ、ジャンルごとにしっかりと面白さを盛り上げていく構成の巧みさ!
今回も存分に楽しませていただきました。
ぜひ読んでみてくださいね!
勉強が嫌いで物事を深く考えるのが苦手な金髪ギャル璃乃が出会ったのは、堅苦しい話し方をする天才高校生シュージ。
本来なら水と油のような存在の二人が、降りかかる難題を乗り越えようと四苦八苦するうちに、互いの良さに気づき惹かれ合っていきます。
でも、そんな甘い恋愛だけで終わらないのが本作の魅力。
大人の無理解、虐待やパパ活、受け子などの犯罪など、様々な問題に切り込んでいます。
謎解きの面白さ、被害者の苦しみ。
様々な困難を見つめ、乗り越えた先に璃乃が見つけたのは、『自分で考える、自分らしい生き方』でした。
そのために学び、周りの人の話を聞いて、良く考える。
忙しい現代人、数字で評価される社会。
そんな私たちが見失いがちな『考えることの大切さ』を思い出させてくれる素晴らしい作品です。
是非、多くの皆さんに読んでいただきたいと思いました。
お勧めです。
底辺の高校でギャルとして生活を送っていた主人公は、ある日暴漢に襲われそうになったところを、進学校に通う少年に助けられる。このことをきっかけに、底辺ギャルの主人公と、高い偏差値を誇る堅物少年は、お互いを意識し合うようになる。
主人公が底辺高校の成績底辺だったため、退学を迫られる窮地に陥った時も、少年が勉強を教えてくれたり、親を説得してくれたりして助けてくれた。
しかし、文武両道の天才と思われた少年は、自分の部屋の片づけが苦手で、顔や名前を一致させるのにも苦労していた。それは少年のある秘密に原因があったのだが……。
そして、勉強に目覚めた主人公の周りでも変化が起こり始める。
さらに、少年の初恋相手まで登場し⁉
果たして、主人公と少年との恋の行方は――?
意外な展開が次々に起こり、読者を飽きさせません。
また、恋愛小説ながら、まるでミステリのような伏線の回収も見事です。
思わず主人公に感情移入し、応援したくなること間違いなしです。
是非、是非、御一読ください!
輩に絡まれていたギャルを進学校のガリ勉くんがカッコよく助けてくれたと思ったら、彼の一人称が「小生」だった件。しかも冷たくて感じ悪い。
いきなり恋が回れ右して走り去るような出会い。
だけど、交わりようもなかった二人の関係は、確かにここから始まるのです。
良いなと思ったのは、シュージくんが璃乃ちゃんに勉強を教えるシーン。
ガチのやつです。設問と解答・解説まできっちり描かれ、しかも分かりやすくて面白い。これなら勉強が楽しくなって成績も上がるに違いない、という確かな説得力がありました。
底辺を這っていた璃乃ちゃんの人生に、光が差し込んだように感じられました。
また人付き合いの苦手なシュージくんにとって、璃乃ちゃんは初めてできた友達。
「孤高の天才」のように見えた彼も、実は苦しい状況のなか弛まぬ努力を続けてきた人で。
背景が見えるにつれてどんどん二人のことを好きになり、気付けば心の底から応援していました。
闇バイトや教育虐待など今の時流の問題もうまく取り込みつつ、二転三転していく展開が見事。
璃乃ちゃんの友達やシュージくんの過去も巻き込みながら、二人の距離は縮まったり広がったりを繰り返します。
あの「偶然のような」出会いが、二人に何をもたらすのか。
一筋縄ではいかない恋の行方を、ぜひ見届けてください!
不良に絡まれているところを助けてくれた男の子。普通なら、そこで恋が始まるのですが……。
まず、助けてくれた男の子が予想以上の変わり者です。
自分の呼び名が、
「小生」
インパクト大です。しかも、小生に似合う話し方。これだけで、彼の人生が気になって仕方ありません。
彼の名前は、ショージ。そして、不良に絡まれていた女の子の名前は璃乃。
二人は偶然カフェで再会します。
これは運命ですね!ここから恋が始まるのですね❤︎
と思いきや……。
始まりません!!
ショージは手強いです。勉強の苦手なギャルの璃乃が常識人に思えてしまいます。
恋愛小説によくある恋のフラグをことごとく折っていくショージ。
でもその折れたフラグの下に、恋の種が落ちているような気も……?
近づきそうで近づかない、だけど離れてもいかない。絶妙な二人の距離感が癖になります。
恋はいつ始まるのか。もしかしたらもう始まっているのか。ワクワクしながら読み進めたいと思います。
勉強についていけず、しんどいことを続けられない璃乃。夢中になれるオシャレに走った結果、スカート丈は短く、濃い化粧の高校生ギャルと化していました。
いかにも男遊びしていそうな見た目にもかかわらず、まだ誰とも交際したことも恋愛経験もゼロ。そんな事情を知らない他人は、見た目や学校のイメージで強引にナンパしてきて、大ピンチになるのでした。
多くの人が見て見ぬふりをする中で、駆けつけてくれたのは近くの進学校に通う黒縁眼鏡くん。
ひ弱そうなきみはサンドバッグになっちゃうんじゃと心配したのも束の間、鮮やかに窮地を救ってくれるのでした。
助けたお礼がきっかけで、急速に二人の距離は縮ま……りません。
笑ってしまうほど水と油の関係性だったのです。
一生交わらないはずだった二人が、お互いのことを分かり合える日はくるのか。じれじれしながら見守ってください!