社会の底辺に生きる青年と、家族から冷遇される上流貴族の子息の出会いと救済の物語です。犯罪の告発から放免へとなった誠は、置かれた環境に染まって生きていかなければならない、という鬱屈を胸に抱えながら生きていて、それを救おうとする雅近は孤独の内に生きています。そんな二人が出会い、戸惑いながらも共に生きていこうとする過程がとても繊細に描かれていて引き付けられます。読後感がとても爽やかです。読んで損はないお話です。