12月1日から応募受付開始となる、第9回カクヨムWeb小説コンテスト。
かつて、応募者の皆さまと同様にコンテストへ応募し、見事大賞に輝いた受賞者にインタビューを行いました。
大賞受賞者が語る創作のルーツや、作品を書き上げるうえでの創意工夫などをヒントに、小説執筆や書籍化への理解を深めていただけますと幸いです。
今回は、11月25日発売「甘党男子はあまくない ~おとなりさんとのおかしな関係~」の著者、織島かのこさんにお話を伺います。
第8回カクヨムWeb小説コンテスト ライト文芸部門大賞
甘党男子はあまくない~おとなりさんとのおかしな関係~(織島かのこ)
★下部に夏葉じゅんさんによる紹介漫画を掲載! ぜひお楽しみください!
──小説を書き始めた時期、きっかけについてお聞かせください。また、影響を受けた作品、参考になった本があれば教えてください。
小学生の頃に小林深雪先生の作品を読んでハマり、真似をしてノートに恋愛小説を書いていたのが始まりだと思います。ただ設定を考えるのが楽しいだけで、ひとつも完成させられなかった記憶がありますが……(笑)。それからしばらくオリジナルの小説を書くことはなかったのですが、2019年の8月に長らく住んでいた京都を離れホームシックにかかり、寂しさを埋めるように、京都を舞台にしたオリジナル小説を書き始めました。1カ月半ほどかけて10万字程度のお話を完結させたのですが、それが意外なほどに楽しく、いろんな作品を書くようになり、今に至っています。
個人的に文章・作風ともに影響を受けているなあ……と感じるのは、有川ひろ先生です。ベタ甘ラブコメ大好き! あと自分ではあまり書かないのですが、ミステリやヒューマンドラマも好きで、米澤穂信先生や宮部みゆき先生の作品もよく読んでいます。
──今回受賞した作品の最大の特徴・オリジナリティについてお聞かせください。また、ご自身では選考委員や読者に支持されたのはどんな点だと思いますか?
本作は恋愛小説ではあるのですが、「恋愛以外にも大きな主題のある作品を書こう」と思って書いた作品なので、とにかくお菓子作りの描写に力を入れました。お菓子をテーマにするからには、読者に美味しそうだと思ってもらわないといけないな、と思って。極力、リアリティを出すために妹に実際に作ってもらったり、自分で食べたりしました(笑)。結果、「お菓子テロ」「読んでるとお腹がすく」などと言っていただくことが多かったです。
あとは、メイン二人をはじめとしたキャラクターでしょうか。男を見る目がなかったり傍若無人だったり不器用だったり、短所を持ちつつも一生懸命生きているキャラクターだからこそ、読者の皆さんに愛してもらえたのかなあと思っています。
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──作中の登場人物やストーリー展開について、一番気に入っているポイントを教えてください。
ハッピーな恋愛小説を書くのが好きなので、メイン二人のじれじれ恋模様については、本当に楽しく書きました! まったく性格もタイプも違う二人が、甘いお菓子を通じて少しずつ心の距離を近付けていくさまを、楽しんでいただければなと思います。
好きな登場人物は、ヒーロー・佐久間の担当編集者である筑波嶺大和くんです。純愛ラブコメが大好きで、二人の進展を全力でエンタメ消費していくスタイルの彼に、共感しつつ書いていました(笑)。ぜひ、大和くんと一緒に二人の恋を応援していただければ嬉しいです。
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──受賞作の書籍化作業で印象に残っていることを教えてください。
私は本作がほぼデビュー作だったのですが、担当編集さんが的確にサポートしてくださったおかげで、慣れない作業も非常にスムーズに進めることができました。初めての書籍化作業を大変楽しく進められたのは、担当さんのおかげだと思います。実際にお会いしてお話したときも、作品やキャラのこういうところが好き、としっかり言葉にして伝えてくださって、この方たちと一緒に素晴らしい作品を作りたい……! と心の底から思えました。私のミスもばっちりフォローしてくださって、本当に足を向けて眠れないです(笑)。ありがとうございました!
あと私は番外編を書くのが大好きなので、書籍化にあたって大手を振って書けるぞ! とばかりにおおはしゃぎで書きました。楽しかったです!
──書籍版の見どころや、Web版との違いについて教えてください。
書籍版は、Web版よりもキャラクターの魅力が伝わるよう、細かい描写の修正や、イベントの追加を行いました。文章もより洗練されて、ずっと読みやすくなっているのではないかな、と思います!
そして何より、番外編を3本も書き下ろしました! 大変楽しく書いたので、ここでしか読めないエピソードを楽しんでいただければ嬉しいです。
──Web上で小説を発表するということは、広く様々な人が自分の作品の読者になる可能性を秘めています。そんな中で、ご自身の作品を誰かに読んでもらうためにどのような工夫や努力を行いましたか?
私はそもそも一番初めに投稿した作品(削除済)が、作風・タイトルともに地味すぎて全然読まれなくて。最初は仲間うちだけで楽しんでいたんですけれど、次第に「もっといろんな人に読んでもらいたいなあ」と思うようになりました。キャッチ―なタイトルやあらすじを考えたり、表紙イラストを有償依頼してみたり、書き溜めして毎日同じ時間に投稿したり。
ただ結局、私の場合は「作品を書き続けて、毎回きちんと完結させる」ことが一番効果的だったな……と今は思います。私、4年間で10作ぐらい中長編書いて、全部完結させてるんですよ。それだけはささやかな誇りです。
──これからカクヨムWeb小説コンテストに挑戦しようと思っている方、Web上で創作活動をしたい方へ向けて、作品の執筆や活動についてアドバイスやメッセージがあれば、ぜひお願いします。
自分が好きに書いたものを公開して、それをいろんな人に読んでもらえて、感想を貰えるプラットフォームがある、ということは本当に素晴らしいことだな、と思います。まずは自分の好きなもの、書きたいものを思う存分書いてみる、ことが一番なのかなあと思います。結局長く書き続けるためには、自分が楽しくないと続けられないと思うので。
どうしたら受賞できるのか? に関しては、私が訊きたいよ……運とタイミングなのかな……みたいな、身も蓋もない回答しかできないので(笑)もうタイミングを掴むまで、自分が面白いと思うものを書き続けるしかないんじゃないでしょうか。私もまだまだなので、一緒に頑張りましょう!
──ありがとうございました。
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