第7回カクヨムWeb小説コンテスト大賞受賞者インタビュー|木古おうみ【ホラー部門】

12月1日から応募受付が始まった第8回カクヨムWeb小説コンテストは多くのカクヨムユーザーの皆さまにご参加いただき、例年以上の盛り上がりとなっています。12月21日現在の応募数は長編:約7,660作品短編:約5,230作品です。
そこで、かつて皆様と同じようにコンテストへ応募し、そして見事書籍化への道を歩んだ前回カクヨムコン大賞受賞者にインタビューを行いました。受賞者が語る創作のルーツや作品を作る上での創意工夫などをヒントに、小説執筆や作品発表への理解を深めていただけますと幸いです。
第3回目は明日12月22日に書籍が発売される『領怪神犯』の著者、木古おうみさんです。

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第7回カクヨムWeb小説コンテスト ホラー部門大賞
木古おうみ
▼受賞作:領怪神犯
kakuyomu.jp

──小説を書き始めた時期、きっかけについてお聞かせください。また、影響を受けた作品、参考になった本があれば教えてください。

 小説を初めて書いたのは高校時代です。幽霊部員になるつもりで文芸部に入部したのですが、顧問の先生が熱心で優しい方で、部誌の締切を破り続けるのが申し訳なくなって一作書いたのがきっかけでした。それから、大学でも文芸部に入り、web投稿を勧められ、卒業後も趣味で活動してきました。カクヨムで活動を続けたのは、ジャンルやコンテストの幅広さと、珪素さんの異修羅とロケット商会さんの勇者刑に処すが大好きで両作品の更新を追えるのが魅力でした。
 昨年、ホラー部門に投稿する上で影響を受けたのは昔から好きだった岩井志麻子さん平山夢明さんの小説です。日本ホラー小説大賞(横溝正史ミステリ&ホラー小説大賞)受賞作も好きで毎年楽しみにしていました。大学時代に研究していたアルベール・カミュ安部公房などの不条理文学、海外発の共同怪奇創作SCP Foundation、『ケイゾク』『SPEC』『TRICK』などの堤幸彦監督のドラマ作品にも影響を受けていると思います。

──今回受賞した作品の最大の特徴・オリジナリティについてお聞かせください。また、ご自身では選考委員や読者に支持されたのはどんな点だと思いますか?

 様々な作品に影響を受けてきたのでオリジナリティには不安がありますが、自分なりにいろいろなジャンルの諸要素を取り入れたのが特徴かと思います。自分の技量ではひとつのネタだけで十万字書くのは難しいと思い、当初いくつか候補があったアイディアを全て使った短編連作にしました。短い中で盛り上がりを作れる方がweb連載に向いているかと思い、一編ずつ九十分尺のホラー映画を想定してオチを作っています。読者さんからも気になったサブタイトルを選んで気軽に読みやすいとご好評いただけてありがたかったです。また、連載時がコロナ禍の最中だったので、作中で全ての謎が解決せず不安が残る後味の方が現代の空気感に合うかと思い、意識して書いていました。選評でも「今らしさ」に言及していただけたのでよかったと思います。

▲2022年12月22日発売『領怪神犯』のカバーイラスト(イラスト/syo5)。

──作中の登場人物やストーリー展開について、一番気に入っているポイントを教えてください。

 どこから読んでも話はわかる短編ですが、徐々に長編として伏線が回収される形式にもしたかったので、少しずつ世界観や伏線を入れ、第一部のラストで読者さんから多くの反応をいただけたときは嬉しかったです。前述の通り、全て解決されない不条理なホラーが好きなので、消化不良と思われないか不安もありましたが、受け入れていただけて、やってよかったと思いました。怪異をメインで書くために登場人物の描写は比較的抑えていたのですが、読者さんの中で主人公の義兄の人気が高く、意外な反応で面白かったです。

▲本作の主人公の部下・宮木と、主人公・片岸、主人公の上司で義兄の六原のキャライラスト。

──受賞作の書籍化作業で印象に残っていることを教えてください。

 書籍化は初めての経験だったので、加筆すべき点が連載時に意識していた点とはまた異なり、感覚を掴むのに少々時間がかかりました。例えば、ライブ感がある程度大切なweb連載より話の根幹や登場人物の目標等を早めに明示し、話を牽引していくことで長編小説として読んでもらえるなど、自分にはない視点で興味深かったです。自分としては短編連作なので一編くらい増減させてもいいと思って書いていたのですが、編集さんから大幅な改稿はそれほどせず、元の形式を尊重して加筆するようご指示いただけてありがたかったです。

──書籍版の見どころや、Web版との違いについて教えてください。

 大幅な改稿はないのですが、怪異や超常現象がメインだったweb版に比べ、数々の怪異が引き起こした事象に翻弄されながら解決を求める登場人物たちの話が厚くなり、より小説らしくなったと思います。また、作中で説明が足りなかったところや全編を通して読むと唐突すぎたり、矛盾に見えたところが解決し、ミステリ要素のあるホラーとして読みやすくなったかと思っています。web版で気になるところが見つかったらそっと見なかったことにして書籍版で確かめていただけるととても助かります。

──Web上で小説を発表するということは、広く様々な人が自分の作品の読者になる可能性を秘めています。そんななかで、自分の作品を誰かに読んでもらうためにどのような工夫や努力を行いましたか?

 自分はあまり交流したり、キャッチーなものを書くのは得意ではないのですが、まずは自分の好きなものを書くのを第一に、流行や読者さんからの反応を意識して少しずつ書いていきました。カクヨムの投稿の前に本編のプロローグにあたる部分をホラーのショートショートとしてTwitterに投稿したことで、そこから見てくださる方も増えてありがたかったです。そういった面でSNSは、webサイトでは見つけきれなかった同好の士も見つかりやすいので有効だと思います。

──これからカクヨムWeb小説コンテストに挑戦しようと思っている方、Web上で創作活動をしたい方へ向けて、作品の執筆や活動についてアドバイスやメッセージがあれば、ぜひお願いします。

 自分と他人の「好き」を尊重しつつ楽しんで活動するのが一番です。
 特にホラーなどのジャンルで活動する方は、自分の書きたいものと流行との差を感じることも多いと思います。ですが、流行のものは多くのひとが楽しめるから流行っていますし、知らなかった魅力に気づけたり、すっかり真似をしなくても書きたいものにも活かせることはあると思うので、楽しみながら取り入れていけたらきっと強みになります。web小説サイトには商業小説よりも更に幅広い作品が集まるのでたくさん読んで、たくさん書きましょう。小説以外の映画や漫画ゲームも参考になります。たくさん書いたらリワードが入って、またたくさん観たり読んだりする資金ができるのでお勧めです。

──ありがとうございました。


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