第6回カクヨムWeb小説コンテスト大賞受賞者インタビュー|コイル【キャラクター文芸部門】

賞金総額600万円、受賞者はKADOKAWAからの作家デビューが予定されている第7回カクヨムWeb小説コンテストが、今年も12月1日(水)から始まります。

そこで、かつて皆様と同じようにコンテストへ応募し、そして見事書籍化への道を歩んだ前回カクヨムコン大賞受賞者にインタビューを行いました。受賞者が語る創作のルーツや作品を作る上での創意工夫などをヒントに、小説執筆や作品発表への理解を深めていただけますと幸いです。

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第6回カクヨムWeb小説コンテスト キャラクター文芸部門大賞
コイル
▼受賞作:無駄に幸せになろうとすると死にたくなるので、こたつでアイス食べます
kakuyomu.jp

──小説を書き始めた時期、きっかけについてお聞かせください。また、影響を受けた作品、参考になった本があれば教えてください。

小説を書き始めた時期は中学生の時です。夏休みの自由研究に小説を提出しました。原稿用紙に手書きで表紙の絵も自分で書いたのを覚えています。読みにくかったと思うのですが、先生が丁寧な感想を下さったことに感動しました。

影響を受けている作品は、『渡る世間は鬼ばかり』で有名な脚本家、橋田壽賀子先生を尊敬しています。出演しているキャラクターがみんな特徴的で一度みたら忘れられない。そしてキャラクターの言動が気になり、見ながら文句を言ってしまう。見ている人を夢中にさせる能力がとても高いと思います。好きな話数は見ながら脚本に起こしたりしています。

小説だとSF短編集をよく読みます。日本の作家さんだと久永実木彦先生の七十四秒の旋律と孤独がとても好きです。静かな文章で綴られた美しいSFで何度も読んでいます。


──今回受賞した作品の最大の特徴・オリジナリティについてお聞かせください。また、ご自身では選考委員や読者に支持されたのはどんな点だと思いますか?

私の書く文章は読みやすいところが良いのではと個人的には思っています。どんな面白そうな話も特殊な文字の連続や、オリジナルの漢字がたくさん並んでいては読むのをやめてしまう人も多いと思います。

ストレスなく脳内に文字が入り、脳内に映像が再生されやすい、だからこそ話に集中して楽しめる……そんなところかなと思っています。

また絵にしたときに映えるようなシーンを想像しながら、たまに自分がかいた小説を絵コンテにおこして書いているので、それがComicWalker漫画賞も同時受賞できた理由かなと思います。


──今回受賞した作品を今までに執筆した作品と比べてみたとき、意識して変えた点や、後から気づけば変わったなと思う部分はありますか?

「何の話なのか」と問われたときに「おんなふたりが楽しく暮らしつつ、仕事も生活も恋も楽しむ話」と言い切れるように書きました。誰に届けたい話なのかターゲットを明確にしたつもりです。コンテストで賞を取ることだけではなく、その先にこの話をパッケージとして売る時に、何が強みなのか。それを意識して書き、編集者の方が求めているものにマッチングすれば、受賞に一歩近づけるのではと思います。


──作中の登場人物やストーリー展開について、一番気に入っているポイントを教えてください。

主人公の女性が映像作品を作っているので、作中劇のようなものが何作品も出てきます。SF短編集を好んで読んでいるので、それを活かすことが出来て満足しています。またドローンを用いたカルタ大会など映像を意識したパートも多く、そこは楽しく読んで頂けるのではと思っています。

なにより女性キャラクターは魅力的に感情移入しやすく、男性キャラクターはカッコ良く書けたと自負しています。


──Web上で小説を発表するということは、広く様々な人が自分の作品の読者になる可能性を秘めています。そんななかで、自分の作品を誰かに読んでもらうためにどのような工夫や努力を行いましたか?

書きたいテーマがあったとしても、それがWEB読者の方々が興味を持つテーマなのか、ある程度は意識することだと思います。何か書きたいテーマがあるのは大切だと思いますが、その間口は広いほうが受けやすいとは思います。奥が狭くても間口が広い店のほうがお客さんは入りやすい……そんなイメージです。


──これからカクヨムWeb小説コンテストに挑戦しようと思っている方、Web上で創作活動をしたい方へ向けて、作品の執筆や活動についてアドバイスやメッセージがあれば、ぜひお願いします。

一度「こう書く」と決めたら評価を気にしすぎず、最後まで書ききることでしょうか。迷っても決めたならとりあえず書く。修正は未来の自分に任せる気持ちでとりあえず書くのが良い気がします。


──ありがとうございました。


コイルさんが第6回カクヨムWeb小説コンテストでキャラクター文芸部門大賞を受賞された
『無駄に幸せになろうとすると死にたくなるので、こたつでアイス食べます』2022年1月にメディアワークス文庫で書籍化予定! *書籍タイトルは改題予定。
発売日などの詳細は、後日カクヨム内の作品ページなどで発表します!

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