KADOKAWAとカクヨムを共同開発する株式会社はてなの20周年を記念し、はてながカクヨム上で初めて開催した「はてなインターネット文学賞」。2,406作品におよぶ応募作品の中でもっともインターネット文学らしいと選ばれた個性あふれる受賞作の作家のみなさまに受賞作や創作活動、そしてインターネット文学についてお話を伺いました。
第4回は、はてなエンジニア賞『タイプライターと猿をかった話』の華川とうふさんです。
--受賞作『タイプライターと猿をかった話』について、教えて下さい
2回読んでもらえるということを意識して書きました。
WEB小説は読んでもらいやすい一方で、読んでいる瞬間は楽しんでもらえても、しばらくしたら忘れられてしまうことが多いと思っています。
たくさんある作品の中で読んだ人の印象に残る、2回読みたくなる作品にしたいと思い、1回目と2回目で読んだ印象が変わる作品作りを心掛けました。
--エンジニア賞受賞について感想はありますか?選評では「エンジニアの挙動を想起するお猿さん」というコメントもありましたが、作中でエンジニアを意識されたりしましたか?
エンジニアと暮らしているので、もしかしたら影響を受けているかもしれません。
お猿さんではありませんが、仕事が難航し始めると、奇妙な姿勢で椅子をギシギシ揺らしているお猿さん(エンジニア)が現れます。
私は作中の語り手とは異なり、冷静に注意することはできませんが……。
--インターネットで小説を書きはじめたのは、いつ、どこで、どのようなきっかけでしたか?
実は、とあるVチューバーさんの企画がきっかけでした。
一年ほど前、小説投稿サイトで初心者を集めてPV数を競わせる企画がありそれに申し込んで優勝したのがきっかけです(馬耳とうふ名義)。
小説投稿サイトのシステムや特徴を把握してそれに合わせた戦略で投稿をしていたため、キーボードを叩き続ける日々はつらかったです。
現在は、数字にこだわるよりも好きなことを書いているので楽しいです。
--華川とうふさんにとってインターネット文学とはなんでしょうか?
読者との距離が限りなく近い文学だと思います。
通常、文学というと国語の授業とか表紙の厚い本だとかすごく堅苦しくて改まったイメージです。作者の考えを読者が必死に読み取ることを必要としているような……。
インターネット文学は、読者が作者やほかの読者に向けて応援コメントやレビューで自分の疑問を直接問いかけることができます。
作者だけのものではなく、作者の投げかけだけでなく、読者の反応があって初めて完成するのがインターネット文学だと考えます。
--ありがとうございました。