インターネットで語り継がれる物語、募集
2,406 作品
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はてなインターネット文学賞開催期間中、多くの作品がカクヨム上で読まれるだけでなく、インターネット上で話題になっていました。
とりわけ本作『ファンキー竹取物語』はTwitterで大きな話題になり、完成前から複数のインターネットメディアでも取り上げられ、多くの人々の注目を集めました。
加えて本作は書き出しの勢いに終わらず、むしろ加速しながら不朽の名作古典を新釈していきます。
高速で流行り廃る現代語と現代文化をこれでもかというほど詰め込むものの、古典文法と竹取物語の調和は一切失われず、1000年を隔てていても同じ言語であることを感じさせる作者の技巧に驚かされます。
令和3年の現在に古典の新しい楽しさを伝えた本作が、時を経て「こんな言葉や文化あったな」と令和初頭の言語や習俗を伝える物語に姿を変えていくのが楽しみです。
選考委員一同
『ゴルゴ13』の単行本化は連載から7年ほど経過してから行われる。
本誌掲載分の話数単位はユニットとして切り出され、数年間を掛けて各媒体に再掲載される。
増刊、別冊、単行本、文庫版。それぞれページ数(掲載ユニット数)が異なるため、掲載媒体のページ数に合わせてユニットの掲載順序はシャッフルされる。そのことを理解するために、私は7年間の歳月と父の喪失を要した。
今回、はてな社長賞は「思わず誰かに共有したくなる物語」「日常と地続きになっている物語」という基準で選考しました。
親が買ってくる本や雑誌を子供が読んで、ちょっと大人の世界を垣間見るという経験をされた方は多いのではないでしょうか。特にスマートフォンや電子書籍がまだなかった時代には、親と子のコミュニケーションの手段のひとつだったのだと思います。
そんな日常の中から生まれた物語の中に、ゴルゴ13という有名な作品の単行本刊行ペースに対する知識や考察が散りばめられていて、とても惹きつけられる作品でした。大人になってから「ゴルゴ13」について調べる際に、インターネットを活用されているというところも評価しました。
余談ですが、作中で登場した「13番目の客」ですが、なんと2021年10月29日発売のコミックス164巻に表題作として収録されたようです。天国のお父さんもニコニコしながら楽しんでいるのではないでしょうか。
株式会社はてな代表取締役社長 栗栖義臣
プログラミング言語の予約語をランダムに並べたら実行可能なプログラムとなるか。
偶然できた実行可能なプログラムがなんらかの意味を持った動作を行うか。
エンジニアだった私は、そんな事を思ったりしますが、さて、この小説でタイプライタを与えられた猿は何を生み出すのでしょうか?
はてなインターネット文学賞のエンジニア部門ということで、どことなくエンジニアの挙動を想起するお猿さんが出てくる作品を選出しました。と言ってはエンジニアに失礼かもしれませんね。どう失礼かは是非本文を読んでみて下さい。
SFらしいテーマも、最後の一行も、とても良かったです。
株式会社はてな取締役 サービス・システム開発本部長 大西康裕
どうぞ「1」から順にお読みください。そうでないと意味がわからないと思います。
30話もありますが、すぐに読み終わります。
できればブラウザで読んでいただきたいです。
本作品は、ブラウザ上に表示される小説プラットフォームの特性を活かした表現がなされています。
スクロールを伴わないページングによる紙芝居的な表現や、長い空行をスクロールさせることによって発生する時間・空間的な空白の表現は、どちらも昔からウェブコンテンツの表現として存在しているものではあります。
本作品は、これらのギミックをウェブ小説の舞台装置として効果的に取り入れたところに挑戦があり、読書体験をユニークなものにしています。この点を評価し、また作品に対するはてなブックマーク数やはてなブックマーク上でのコメントの反応なども元に、ブックマーク賞として選びました。
株式会社はてな はてなブックマーク開発チーム
インターネットの登場以降、多くの怪異がインターネット上で広まるようになりました。ただ広がるだけではなく、改変や二次的なエピソードが生まれたり、イラストやマンガ、動画などでその姿形が描かれたりしていきます。
本作は、インターネットで生まれた、身長八尺(約2.4メートル)の女性の姿をした化け物「八尺様」のイメージをタイトルの通り180度逆転させてしまうものでした。その思いも寄らない発想については選評で書くには憚られるため割愛するのですが、多くのカクヨムユーザーを虜にしたことはおすすめレビューの数と熱量で明らかです。
インターネット・ミームを散りばめ、読者の意表を突きながら笑いを重ねていく本作は、ただ単に現代の怪異を改変してみせたというだけでなく、「八尺様」を知る人も知らない人にも、驚きと笑いと強烈な印象を残しました。
いつの日か「八尺様」のイメージが本作『尺八様』に上書きされてしまわないか、非常に心配です。
株式会社はてな カクヨム開発チーム
「はてなインターネット文学賞」の中間選考の結果を発表させていただきます。
多数の力作を投稿してくださった皆様、並びに作品を読んでくださった皆様には、改めて深く御礼申し上げます。
※掲載の並びは作品のコンテストへの応募順となっております
はてなインターネット文学賞は、KADOKAWAとカクヨムを共同開発する株式会社はてなの20周年を記念し、はてながカクヨム上で初めて開催したコンテストでした。「インターネット文学」という掴みどころのないテーマのコンテストではありましたが、おかげさまで多くの皆様にご参加いただけました。ご応募いただいた作家の皆様およびはてなインターネット文学賞を楽しんでいただいた皆様、誠にありがとうございました。
いまさらなのですがインターネット文学とはなんなのでしょうか。
応募いただいた作品を眺めていくと、SNSをはじめとしたインターネットサービスをテーマとした作品、インターネットミームを散りばめた作品、インターネットだから現れたであろうエッジの効いた作品やごく個人的な思い出話など、様々な物語があり、インターネット文学とはなんなのかという問いに対して、応募作品の総体がその答えとなったのではないかと考えています。その中でもひときわインターネット文学だと考えた5作品を選出いたしました。
インターネット文学という未定義なジャンルの開拓に、皆様とともに取り組めたことは、「インターネットが大好き」というバリューを掲げる株式会社はてなにとってとても嬉しいことでした。改めましてはてなインターネット文学賞にご参加いただきました皆様、誠にありがとうございました。
株式会社はてな