概要
再会の暁には、大嫌いだと伝える予定だった――はずなのに。
恋人と婚約中の乙井果澄は、中学生時代に大嫌いだった同級生・鮎川翠子と、二十八歳の夏に再会する。果澄は、翠子に「大嫌い」だと伝えたいのに、翠子から「喫茶店を手伝ってほしい」とお願いされてしまい……?
◆カクヨムWeb小説短編賞2023の短編小説部門にて、LScomic奨励賞を受賞しました。
◆カクヨムWeb小説短編賞2023の短編小説部門にて、LScomic奨励賞を受賞しました。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!「読む悦び」を存分に味わえる
歌手でいうと、艶のある声質で声量があって、声域も広くて、
当然のごとくピッチが狂ったりもしない。
そういう歌い手が、十八番を歌っているかのような文章で綴られた、
とても魅力的な小品です。
※「小品」とは単にサイズの話であって、「大作」の対義語ではありません。
ふたりの女性が「ある種の対決」をする8000字弱の物語ですが、
その短いなかにも読む者の予想を裏切る仕掛け(のようなもの)がふんだんで
つまりは「読む悦び」を存分に味わえる――そんな作品です。
細かく書いてしまうとネタバレになるので避けますが、
ふたりの女性の造形と対比、過去の因縁、現在の状況、場面の構築と描写、
そういう隅々まで…続きを読む - ★★★ Excellent!!!中学の頃から大嫌いだった……。そんな言葉を叩きつけようと思ってたのに?
街中で、偶然声をかけられた。
中学の時の同級生だった。それも、大嫌いだった……。再会してしまった時には、そうキッパリと突きつけるつもりだった。
そんな嫌っていた同級生が、主人公にお願いがあると言う。
その誘いを断ることもできず、大嫌い……と突きつけることもできず、同級生とともにやってきたのは、小さな喫茶店だった。
その喫茶店を手伝ってほしいと言うのが、同級生のお願いで、パートナーと別れてしまったからというのが理由だった。
ここまで、ドラマは淡々と進んでいくが、ここから先の展開がおもしろい。
大嫌いになってしまった理由とは? その本当の意味とは? 十三年経った今、変わること…続きを読む