概要
メロスには政治がわからぬ。俺は政治がわかった気でいる。
メロスが激怒し暴君ディオニスを暗殺しに行ったと同じ頃合いに、
俺もまた激怒し誰でも良かったのでむしゃくしゃして暴君ディオニスを暗殺しに行くこととなった。
メロスにはセリヌンティウスという友がいるが、俺に友はいない。
「この市にディオニスという王がいます。私の無二の友人だ。あれを、人質としてここに置いて行こう。俺が逃げてしまって、ここに帰って来なかったら、あの友人を絞め殺して下さい。たのむ、そうして下さい」
俺は磔になった。
俺もまた激怒し誰でも良かったのでむしゃくしゃして暴君ディオニスを暗殺しに行くこととなった。
メロスにはセリヌンティウスという友がいるが、俺に友はいない。
「この市にディオニスという王がいます。私の無二の友人だ。あれを、人質としてここに置いて行こう。俺が逃げてしまって、ここに帰って来なかったら、あの友人を絞め殺して下さい。たのむ、そうして下さい」
俺は磔になった。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!『走れメロス』× 俺 = 爆笑&感動のヒューマンドラマ?!
『走れメロス』は、言わずと知れた太宰治による名作でしょう。教科書などで読んだという人も多いはずです。学生の頃、単純な男・メロスの生き様に笑ったり泣いたり突っ込んだり……え、「俺」?
なんとこの物語、『走れメロス』の中に、「俺」というどこかで見たことのあるような男を放り込んでしまったのです! その結果巻き起こされるのは、読者の腹筋を崩壊させるような爆笑必須の展開の数々。そう、『走れメロス』と「俺」という、誰もが予想しなかった——というか想像すらしなかった——コンビネーションが、『メロスは激怒したが、俺も大概キレてる』という名作を生み出したのです。
「俺」は、いい歳して引きこもり、長年世話をして…続きを読む - ★★★ Excellent!!!俺もメロスのようになれるだろうか
「走れメロス」を始めて手に取った時の感動を覚えている。
友情に篤く、困難を乗り越える勇気を持ち、狂おしいほど義理堅い。メロスと言う男は、友人を身代わりに仕立てがちな欠点を除けば最高の男だ。
彼は愚直だが、その行動で王を翻意させた。読者も感動した、お前も感動した。あの時の行き場のない行動力のような何かはどこへ行ってしまったのだろう。その時の瞬発力はどこかへやってしまったまま、俺は大人になった。
この物語は、その時の「意味不明な行動力」を煮詰めたような短編だ。
俺は、メロスとセリヌンティウスに感化され、自らの足で小さな一歩を踏み出す。
あの時に感じた、むやみな行動力が発揮され、さらに一歩進ん…続きを読む