尺八様

作者 春海水亭

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★★★ Excellent!!!

 こんなタイトルであるならば少しは下半身を興奮させるようなものであろうかなと思いきや、頭からお尻までそんなことはなく(いや、もしかしたら性欲が半端ないあの頃であるならばこれでも興奮出来るのかもしれないが)、紛うことなきコメディである。
 突拍子もない、勢い重視でありながらもその勢いの強さこそが面白いと思うものであり、それがエンターテイメントであることには違いない。
 そうしてその突風を背に受けたまま読み終わってしまえば、思わずなんだこれはと読んだものを疑いたくもなる。だけど読後に起きてしまう冷静さというのは楽しんだという事実には関係がないのだ(それは射精後の虚無感にも似ている)。
 そしてその刹那的な楽しみ方と言うのは、もはや遙か昔になってしまった、かつて2chと呼ばれていた掲示板サイトでのニュー速VIPで毎日のように書かれていたあのSS群を嫌にでも思い出させてくれる。

 朝起きて学校に行き、帰ってきてPCを立ち上げて、まとめサイトを巡れば山のように新たなるSSがまとめられていた。それを読み漁って、寝てしまって、また朝が来て出かけて帰ってきたら新しいものがあり……
 なにかに取り憑かれたように読んでいたというのに、その作品群のほとんどは覚えていない。だけど、確かに読んでいる最中は、探している最中は、読み終わって次を求めている時は、楽しんでいたのだ。それは確かに覚えている。

 この小説はもしかしたら刹那的な楽しみだけで終わらず、不朽の名作として長く語られる可能性があるのかもしれない。しかしそうでなければ、やはり多くの人間からある時期に読んだかなあと思えるような作品に埋もれてしまうだろう。

 しかし例え内容を覚えていなくとも、読んだ人間の心には、カクヨムでもの凄く楽しんだ作品があったということを忘れないでしょう。

★★★ Excellent!!!

夏の山村――老人から語られる怪異、何も起きないはずがなく……。
いや、この村ではオチが乱立して平常運転すぎるし、
それ以上に怪異どころじゃない危険がありすぎる。

そんな恐ろしい村の、恐ろしい話。
なにもかもぶっ壊してしまえ、こんな村!

★★★ Excellent!!!

タイトルと説明文がキャッチーで完成されており、内容がインターネットでした。
インターネット文学賞においてインターネットのトレンドの「今」を篆刻する、貴重な作品であると思います。
この時この瞬間この年を記録するにふさわしい一作でした。

★★★ Excellent!!!

「あああああああああああああ!!!!!!!絶対なる笑いが襲いかかる!!!!!」

 俺は笑い死にした。
 必ず、この邪知暴虐な本作をはてなインターネット文学賞で一位にせねばならぬと決意した。
 俺には文学が解らぬ。俺は、作者の虜である。名作を読み、レビューを並べて暮して来た。けれども本作に対しては、人一倍に敏感であった。

 襲い来る刺客、それは笑いという名の暴力。
 ひとたび読み進めれば「私、笑いのクオリティが6500倍上昇してる爆笑ネタを前に息出来ない状態でクイズ大会に出るんですか!?」とばかりに次に何が来るのかを予想させられ、それを遥かに超えたクオリティのネタに殴り飛ばされる。
 これはまさに春海水亭先生の集大成であり、我々の腹筋とか横隔膜とかそういうなんか難しい漢字の名前がついた部位を破壊するためだけのトラップダンジョンなのだ。

 皆さんも軽い気持ちで本作を読み、そのまま笑い死んでもらいたい。
 たとえそのせいで幽霊になっても安心していただきたい。春海水亭先生は怖い方のホラー作品も得意としているので、なんかこう、上手く扱ってくれるだろう。

★★★ Excellent!!!

傑作ホラーコメディでした。原典として引用されている怪異「八尺様」はインターネットより産声を上げ、だが今や母たるインターネットの手により殺められ、解体し尽くされる存在だ。

今や後付けのミームと不可分のものと化し、怪異性を喪った彼女を更に小突き回す本作は、Twitter映えのスマブラとでも言うべきネタの氾濫を起こしながらも、当の八尺様(ここでは尺八様だが)に、失ったはずの怪異性を返上させるという離れ業をやってのけている。彼女はいま、再び恐怖を勝ち取ったのだ、「八」と「尺」の位置を逆にされたとしても、巡り巡って少年に恐れられる夏の怪談に戻れたのだろう、本当か?

★★★ Excellent!!!

もうタイトルの時点で出オチである。
だが、それがいい……そう思いながら本編を開くと、自分の認識が甘かったと思い知らされた。
次々と襲い来る出オチ――何度エロ系の創作で見たかわからない怪人ども――に変な笑いが出てきたところで、さらに出オチが〆に待っている。
出オチもわんこそば状態になるとそれ自体がメインディッシュになるんだ……そんな学びが得られる爽やかな短編コメディだった。
笑いたい人にオススメ出来る。
シモネタだけど!

★★★ Excellent!!!

妖怪、変態、メスガキ、ヒグマ、ホラー。
インターネット文学の集大成。
時代の産んだ形容不能のやつ。
マジで最低なところが最高の小説。

結局、人間が一番怖いんですよね……こういう小説を書けるちょっと意味が分からないレベルでやばい人間が……。