こんなタイトルであるならば少しは下半身を興奮させるようなものであろうかなと思いきや、頭からお尻までそんなことはなく(いや、もしかしたら性欲が半端ないあの頃であるならばこれでも興奮出来るのかもしれないが)、紛うことなきコメディである。
突拍子もない、勢い重視でありながらもその勢いの強さこそが面白いと思うものであり、それがエンターテイメントであることには違いない。
そうしてその突風を背に受けたまま読み終わってしまえば、思わずなんだこれはと読んだものを疑いたくもなる。だけど読後に起きてしまう冷静さというのは楽しんだという事実には関係がないのだ(それは射精後の虚無感にも似ている)。
そしてその刹那的な楽しみ方と言うのは、もはや遙か昔になってしまった、かつて2chと呼ばれていた掲示板サイトでのニュー速VIPで毎日のように書かれていたあのSS群を嫌にでも思い出させてくれる。
朝起きて学校に行き、帰ってきてPCを立ち上げて、まとめサイトを巡れば山のように新たなるSSがまとめられていた。それを読み漁って、寝てしまって、また朝が来て出かけて帰ってきたら新しいものがあり……
なにかに取り憑かれたように読んでいたというのに、その作品群のほとんどは覚えていない。だけど、確かに読んでいる最中は、探している最中は、読み終わって次を求めている時は、楽しんでいたのだ。それは確かに覚えている。
この小説はもしかしたら刹那的な楽しみだけで終わらず、不朽の名作として長く語られる可能性があるのかもしれない。しかしそうでなければ、やはり多くの人間からある時期に読んだかなあと思えるような作品に埋もれてしまうだろう。
しかし例え内容を覚えていなくとも、読んだ人間の心には、カクヨムでもの凄く楽しんだ作品があったということを忘れないでしょう。
「あああああああああああああ!!!!!!!絶対なる笑いが襲いかかる!!!!!」
俺は笑い死にした。
必ず、この邪知暴虐な本作をはてなインターネット文学賞で一位にせねばならぬと決意した。
俺には文学が解らぬ。俺は、作者の虜である。名作を読み、レビューを並べて暮して来た。けれども本作に対しては、人一倍に敏感であった。
襲い来る刺客、それは笑いという名の暴力。
ひとたび読み進めれば「私、笑いのクオリティが6500倍上昇してる爆笑ネタを前に息出来ない状態でクイズ大会に出るんですか!?」とばかりに次に何が来るのかを予想させられ、それを遥かに超えたクオリティのネタに殴り飛ばされる。
これはまさに春海水亭先生の集大成であり、我々の腹筋とか横隔膜とかそういうなんか難しい漢字の名前がついた部位を破壊するためだけのトラップダンジョンなのだ。
皆さんも軽い気持ちで本作を読み、そのまま笑い死んでもらいたい。
たとえそのせいで幽霊になっても安心していただきたい。春海水亭先生は怖い方のホラー作品も得意としているので、なんかこう、上手く扱ってくれるだろう。