往年のVIPSSを髣髴させ、どこかノスタルジックを感じさせる。
- ★★★ Excellent!!!
こんなタイトルであるならば少しは下半身を興奮させるようなものであろうかなと思いきや、頭からお尻までそんなことはなく(いや、もしかしたら性欲が半端ないあの頃であるならばこれでも興奮出来るのかもしれないが)、紛うことなきコメディである。
突拍子もない、勢い重視でありながらもその勢いの強さこそが面白いと思うものであり、それがエンターテイメントであることには違いない。
そうしてその突風を背に受けたまま読み終わってしまえば、思わずなんだこれはと読んだものを疑いたくもなる。だけど読後に起きてしまう冷静さというのは楽しんだという事実には関係がないのだ(それは射精後の虚無感にも似ている)。
そしてその刹那的な楽しみ方と言うのは、もはや遙か昔になってしまった、かつて2chと呼ばれていた掲示板サイトでのニュー速VIPで毎日のように書かれていたあのSS群を嫌にでも思い出させてくれる。
朝起きて学校に行き、帰ってきてPCを立ち上げて、まとめサイトを巡れば山のように新たなるSSがまとめられていた。それを読み漁って、寝てしまって、また朝が来て出かけて帰ってきたら新しいものがあり……
なにかに取り憑かれたように読んでいたというのに、その作品群のほとんどは覚えていない。だけど、確かに読んでいる最中は、探している最中は、読み終わって次を求めている時は、楽しんでいたのだ。それは確かに覚えている。
この小説はもしかしたら刹那的な楽しみだけで終わらず、不朽の名作として長く語られる可能性があるのかもしれない。しかしそうでなければ、やはり多くの人間からある時期に読んだかなあと思えるような作品に埋もれてしまうだろう。
しかし例え内容を覚えていなくとも、読んだ人間の心には、カクヨムでもの凄く楽しんだ作品があったということを忘れないでしょう。