原罪のオトシゴ。 ―妖骸星鴉エトレーヴェ―

　集落が焼かれて現場に駆けつけた派遣部隊の青年、池緒渠《いけおこう》は今際のエルフの少年から『ヤシャ』というダイイングメッセージを受け取る。
　市の派遣部隊は必ずやこの卑劣な敵の正体を暴き、捕らえようとエルフらとともに動き出した。
　コウには思い出せない記憶があった。それはとある友に関することだったはずだが、最近はひときわそのことが気掛かりでしょうがない。――喪われた記憶が、異界での探索と奇妙な符号を遂げるとき、事件の輪郭が浮かびあがり、彼らは選択を迫られる。

　迷宮巣と呼ばれる異界へのゲートがあり、それは日本の側へまれに幻獣や落とし仔と呼ばれる異界生物の来訪を齎している。そうしてエルフらとの交易をはじめとした迷宮巣探索で、額縁市は一定の成果を上げつつあった。
　そしてこの事件を引き起こし…続きを読む