岸に寄せる夢　－新選組彼此異譚－

徳永 壮治郎は高校三年生。仲間より一足先に推薦で大学受験を乗り切り、悠々自適に最後の高校生活を満喫していた。学校に、アルバイトにと日々を過ごしながら、来年からの新生活への期待に胸を膨らませる。
だが、ひとつ気になることがあった。それは近頃よく見る夢のことだ。昔から壮治郎は色のついた五感もリアルな夢をよく見るし、物語のように前回の続きの夢を見ることも多かったので、初めはあまり気にしていなかった。自分の知らない時代劇のような昔の日本らしき場所が舞台で、いつものようにドラマを見るように夢を楽しんでいたのだが、登場人物達が全員、新選組のメンバーであるということに気が付く。
今まで歴史に興味もなかった壮治郎だったが、夢をきっかけに幕末の歴史を調べ、勉強するようになる。すると、今見ている夢が史実に基づい…続きを読む