概要
真中市には何も無い。そして僕たちの全てがある。
真昼間からぼんやりと道端を歩いている、多くの場合奇抜な衣装を着こんだ、何をするわけでもなくただそこにいる、毒にも薬にもならない、しかしおそらく正気を失ったあの人たちが、真中市には何人も暮らしていた。セーラー服を身にまとった中年親父や、ドラえもんに出てくる「のび太」のコスチュームを着た青年や、街角で延々祈祷を続ける老婆や、空き缶を体中のありとあらゆる場所に大量にくくりつけた老人や、何の変哲もないヒーローがいた。
そのヒーローの名を、日光仮面と言った。
第一章 日光仮面
第二章 夏
第三章 雨
第四章 雨の後
第五章 二十一世紀
そのヒーローの名を、日光仮面と言った。
第一章 日光仮面
第二章 夏
第三章 雨
第四章 雨の後
第五章 二十一世紀
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!喪って、でも生きていく
スポーツが得意な健一。頭が切れる誠二。音楽や絵画に才能を発揮する夏。「オール四」的ポジションにいる語り手の裕司。
彼ら仲良し四人が暮らす極めて平均的な街である「真中市」には、「あの人たち」が不思議と多い。エイリアンを呼ぼうとし続けるおじいさん、空き缶を集めて家を作ろうとしている人、家の前で誰に食べさせるでもない鍋を延々と煮込み続けるおばさん、エトセトラ、エトセトラ……そして、日光川の流れるこの街を脅かす「サタンの爪」と戦い続けるヒーロー日光仮面。
裕司たちは日光仮面と比較的仲が良く、人数が少ない時にはサッカーのゴールキーパー役を務めさせ、そしてサッカーの技術がない日光仮面は面白いように点を取…続きを読む