第35話黒の女神はおれに甘えたい
買ったはいいものの、どうやって家に運ぶか?
最悪のパターンは澪が宅配物を受け取り、その場で開ける……
「流石にないと信じたい」
プライバシーは守ってくれるはず……一応開けるなって言っといた方が良いな
だとしても、いつか質問されるのは避けられないな
おれは澪から何を買ったのか聞かれて時の答えを考えていた。
そして、自分が思い浮かべた案の中で最適解だと思ったのを実行した
◆◆◆
「ふふ〜ん」
後はここに自家製サラダチキンを乗っければ
「完成です」
我ながらにカレーとサラダチキンは合うと思います
サラダチキンも美味しく出来てたし、タンパク質も豊富、喜んでくれるでしょう
私が蒼君を呼びに行こうと台所から出ると、ちょうど2階から降りてきた蒼君を見つけました
「夜ご飯食べますか?」
「筋トレの後に食べるよ」
「わかりました」
あれが噂の腹筋ローラーってやつですか
蒼君の手にはタイヤを貫通した棒がありました
「3、4、5、6、7、8、9、10……やる?」
「っえ?」
私が無意識に蒼君の筋トレを見ていると、腹筋ローラーを私に向けてきまあいた
「一回やってみん」
「まぁ、一回だったら」
私は渋々腹筋ローラーを手にしました
えっと、まずは地面につけ——
「ちょ待て……はい、これを膝に敷いてして」
蒼君はソファーにあるクッションを私のお膝に敷き、前から見守ってくれた
何でクッション?
「腹筋ローラーって立った状態からするんじゃないんですか?」
「そうだよ、だけど、膝付きから始めた方が良いと思う、どうせ立った状態でできないでしょ」
「むぅ…そんな事ないです」
私はクッションをどかし、立ったまましてみた
「え」
結果は私のお腹が床につきました
蒼君は笑いを堪えていましたが、それも限界な様子です
「な、膝突きでしろって」
そして、お膝をクッションに乗せやってみました
蒼君は膝突きは簡単って言ってましたが
「んうぐ…あっ」
「ははは」
またしてもお腹が床についてしまいました。
2回もお腹が床についた恥ずかしさと笑われた恥ずかしさで立ち上がりたくありませんでした
「1回頑張って成功させよう」
「はぃ」
私はもう一回膝つき腹筋ローラーに挑みました
「はぁ、んぅ、っあ」
「もう一回」
「無理ですぅ」
私は一回だけ成功させ、その場に倒れました
「あ、多分明日筋肉痛だから」
「えぇ~」
「いや、まぁ、筋肉痛はいいことだから、筋肉さん達が頑張ってる証だから」
頑張ってる証かぁ
そう聞いたら、私は明日来る予定の筋肉痛をあまり責めることができなくなっちゃいました。
「とりあえずご飯食べましょう」
「あいよ…お、カレーとサラダチキンか、このサラダチキンって自家製なの?」
「そうですよ」
私は胸を張って蒼君に自慢気にいいました
「へぇ、お味は……うめぇな」
「お口あったなら嬉しいです」
「普通にコンビニに売ってるサラダチキンより美味い」
「あ、ありがとう…ございます」
なんで蒼君は自然に褒めてくれるんだろう、普通に私の心臓が保ちません
私の声は徐々に小さくなり、自分でもお顔が赤くなっているのが感じれました
「もしかして照れてるー?」
「そんなわけ、ひゃっ」
「ひゃって、おもろいな」
私の首には先日、島津さん達が奢ってくれたらしい、周りに水滴がついているジュースが当てられていました
「もう、首はやめてくださいって何回も言ってますよね!」
「ごめんて」
「ん、えへへ」
蒼君は赤ちゃんをあやすかのように、私の髪を左手で撫で、右手で頭を撫でました
ずるいずるい、そんな事されたら怒る気なんて消え失せるに決まってるじゃないですか、でも、もっとされたい
私は蒼君の胸にすがるようにもたれました
「甘えん坊さんだね、澪は」
「蒼君には甘えたいんです」
「そう……でも、おれもお腹減ってるから、ご飯の後でいいかな」
「……うん」
私は今甘えたかったけど、今はご飯を食べる時間です……でも、何故か胸に残るモヤモヤ
「ご飯のあとにたくさん甘えさるから、今はご飯の時間」
「はぁい」
◆◆◆
「蒼君……えへへ」
……可愛い
おれは今澪に甘えられている、よくペットとかが飼い主に甘える動画を見ることがあるが……こんな気持ちなのか
最高すぎるだろ
おれは澪の甘える攻撃に体を癒されていた
こんな至福のひとときを邪魔されたくなかったが、そんな願いは叶わなかった
ピロン
「……確認していいですよ」
「ありがと」
おれは頭を撫でていた手をどかすと、少し澪は悲しそうな顔をしていた、なぜ彼女はこんなにも甘えさせたい表情、仕草ができるのだろうか
えっと、内容は
『お届け物は明日届きます』
早いな、せっかく宅急便が筋トレ用品だと思わせる作戦の効果が期待できないじゃん
「内容は何でしたか」
澪はすぐに聞きたいのだろう、胸に手を当て少し何かを心配している顔で聞いてきた
「別に何も、明後日の練習についてのことだよ」
「明後日から練習が始まるんですね……」
「大丈夫、何を考えてるのかわからないけど澪が考えている事は起きないよ」
「わかりました」
そして、澪はもう一回甘えるモードに入った。
普通に理性が死にそう
ただでさえ肌が透けてる箇所があるネグリジェを着ているんだ、目の置きどころが本当にない、どこに置けばいいんだよ
おれの理性は耐えれてる方だと思う、考えてほしい、肌が透けてて、可愛らしいパジャマを着た幼馴染が自分のあぐらの上に座っているんだぞ、おれを褒めてほしい
「今日はたくさん甘えさせてくださいね」
おれはそんな願いを断ることができなかった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます