第37話目のやりどころに困る

「店員さん、買う物決まったんで、来てくれませんか?」

「わかりました」


まずは、澪が雫さんと和希さんの結婚記念日のプレゼントとして選んだ、ペアルックのネックレスのショーケースに来た


「えっと、このペアルックのネックレスをください」


おれは片方がピンクで下に小さなハートがあるネックレスと銀色で下がハートではなく三日月のネックレスを指さした


澪って女子力絶対高いだろうな

いや、まぁ何を持って基本は女子力が高いって言うのかわからないけど、相手に合うアクセサリーを見つけるっていう点においては全国でもトップレベルなんじゃね


「他に買う物はありますか?」

「向こうのショーケースにあるブレスレットをください」

「わっかりました」


澪は別のショーケースに目を奪われていた、そのショーケースとは——指輪であった


「澪さんや、目的が違いまっせ」

「っあ、すいません」


澪は小走りでおれと店員さんに追いつた


「では、こちらの2点を向こうの会計まで持って行ってください」

「わかりました」


おれは紙袋に入った2つのペアルックアクセサリーを会計まで持って行った


「お客様こちらで……って、あの時のお二人じゃないですか」

「こんにちは」


まさか、澪のクソ高かったアクアマリンのイヤリングを買った時の店員さんがお会計をしてくれるらしい


「覚えてたんですね」

「それはもちろん、お似合いのカップルでしたから」

「お、お似合いだなんて、そんな」


店員さんは『ふふ』と上品に笑いながら、商品の値段を打っていく


「お会計は1万円になります」

「電子決済で」


澪に買ってあげたアクアマリンのイヤリングより安いのか……いや、あれが高かったから感覚が麻痺ったのか、普通に2つで1万は高いな


「お昼ご飯はどうしますか?」


会計が終わり店から出ると、澪は紫の花びらが散らばっている白いロングスカートを靡かせるようにおれの方に反転し聞いてきた


おればそんな仕草に心臓は高鳴った


澪はあまり露出が多い服は着ないからさ、たまたま見れた純白の白い足を盛れるとさちょっと興奮しちゃうよね

いや、別にいやらしい目では見てないけどさ、普段見てない素肌が見えちゃうと仕方ないよね、男ってそういう人間なんだから


そして、そんな素肌を毎晩見れるおれって世界の中でも幸せな部類に入るのではないだろうか、そう思った。そんな席を他の男に譲る気も一切湧かない


「蒼君?」

「んあ、どうした?」


うわー、変な声出た―


急に澪に声をかけられたので、おれは驚いて変な声が出てしまった


「なんか、考え込んでいたので」

「何もないよ、澪は何が食べたい?」

「そうですね」


澪は顎に手を添えて、昼ご飯について考え始めた


少しの沈黙を壊したのは、澪の少し恥じらいを含んだ声だった


「あ、あの、ここはどうでしょうか」


澪のスマホには焼き肉屋が示されていた


「え、咲茉ちゃんがクーポンをくれたんです」

「そう、じゃあ行こうか」


やっぱり、女子って自分が食いしん坊って思わせたくないのかな?

おれも焼き肉食いたかったからいいけど


◆◆◆


男バスってすごいですね


私は今、蒼君のお肉焼きマシーンになっていました


既にご飯は4杯目……今までの晩ごはんではもしかしてご満足していなかったのではないでしょうか?


「澪も食べろよ、せっかくの食べ放題だぞ」

「いや、もう私はお腹いっぱいなんです」


私は自分のお腹を擦りながら言いました。


女の子の平均的な量だと思うんですが……てか、蒼君の方が食べ過ぎだと思うんですが、いや、結局バスケで汗を流してるから体重は変わらないのかな

私も運動しようかな


「そうか、じゃあ全部おれが独り占めするけどいい?」

「はい、いいですよどうぞどうぞ、それこそ――」


その時、蒼君のスマホから通知音がなりました


男友達だと信じたいけど、万が一女子だったら絶対に後で話の内容聞かないと、私の蒼君は私色にしか染めさせない、その他の女子は色を染める権利も上げません


「……澪ってさ8月13日の夜、空いてる?」

「空いてますけど」


私は何となく、今の通知の内容が女子の会話でも無く、男友達との会話でもないっていうのが何となく察しました


「おもろい風景が見れるよ」

「おもろい?」

「おれからしたらおもろい風景だけど、澪とか、女子から見たらロマンチックな風景を見れると思うよ」

「つ、は、はぃ」

「?」


私は蒼君の少し小悪魔みたいな少し口角が上がった顔に私の心臓は撃ち抜かれてしまいました


ずるい、ずるい、ずるい、あんな顔をして否定できる人のほうが頭おかしいです、なんで私だけこんなに恥ずかしいめに合わないといけないんですか、

いつか絶対に蒼君の恥ずかしがる顔を絶対に写真に収めてやります


「後、その時は望遠鏡もあったほうが良いから、この後買いに行っても良い?」

「良いですよ」

「わかった」


望遠鏡?なんで必要なんだろう……もしかして天体観測でもするのかな、望遠鏡で天体観測する以外の用途はあるのでしょうか?


私は蒼君のすごい食べっぷりを見ながら、望遠鏡について他の用途を考えていました。








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