第40話友達だから大丈夫
「よし、後はこっちで色々しとくから、完成したら動画は1週間後に送るね」
「もう終わりですか?」
私が考えてたのは、歌ってから色々する工程の方が時間かかりそうって思ってたんですけど
「本来だったら、澪ちゃんが考えてるように歌ってみたを撮ってからも色々するんだけど、今回は従兄弟に丸投げするから、初の歌ってみた動画で澪ちゃんが関与するのは終わりだよ」
「従兄弟さん凄いですね」
咲茉ちゃんの従兄弟さんって多才なんだな、私も自信につながるような強みがあったら人生はもっと楽しくなったのかな
そんな事を思っていると、咲茉ちゃんは何故か自分が褒められてるように照れていました
「まぁ、期待以上の動画を送るから期待して」
「わかりました」
この後どうしようかな、今から帰っても蒼君は部活でいないし、かと言って晩ご飯を作るには早いし
私は咲茉ちゃんの部屋から見える景色を眺めながらこれからの予定を立て直していると
「あ、そうそう」
急に咲茉ちゃんが何か言いたそうな雰囲気を出していたので『何ですか』と言い咲茉ちゃんの方に顔を向けた
———この後に待ち受ける事を考えずに振り向いてしまった
「私が脳内蒼君に褒めて貰えば、って言って実際に緊張が解けたけどさ……なんて褒められたの?」
思い返せばする程私の顔が赤くなってるように感じる——いや、感じるじゃなくて、もう確定で赤くなってるのか
「もしかして、エッチ系?」
「な、そ、そんなわけないです!私はただ脳内蒼君に頑張れとか、頑張ったら甘えさせるって言われただけです……っは」
「へぇ」
どうしよう……口が滑っちゃった、やばいやばいやばい
私の背中には滝のように冷や汗が湧き出ているでしょう、それに、この質問の対応次第で今後の人生が変わりそう……蒼君には絶対に迷惑をかけたくない
「幼馴染なんですし、咲茉ちゃんも知ってるでしょ私が蒼君のこと大好きなの」
「知ってるけどさ……流石に効果ありは驚くし、友達の妄想も興味あるのは友達として普通でしょ」
絶対に普通じゃない
「もしかして。同棲でもしてるの?」
え、なんでバレてるの?おかしいよ、なるべくそんな雰囲気は出さないようにしていたし、同棲生活は夏休みからだったから蒼君が口を滑って言ってしまった。
……絶対にない、蒼君は口が硬いもん
「してないですよ、なんでしてるって思ったんですか?」
これは完璧な答え方だと思います
「蒼君と澪ちゃんは家が近いのは知ってるけど、脳内の蒼君ってところが一番大切、脳内ってことはもう習慣化されてることが一番早く妄想で出てくるのが普通でしょ、蒼君に甘えるのが習慣化され、せっかくの夏休みがだから、他の女子と圧倒的な差をつけれるチャンスだから同棲生活をしよう……まぁこんな感じかな」
儚くも、愛しき日々の、隠れ道、友の気づきに、胸が音鳴る
私と蒼君の同棲生活は私と蒼君の2人きっりの秘密だったのに
どうしよう、白状すべきなのかな、咲茉ちゃんは絶対に他の人に言わないはず、だったらもう言っても良いのではないだろうか
「で、これらのことから推測できること、澪ちゃん、蒼君と…一緒に住んでる?」
咲茉ちゃんの言葉に、私は言葉を失った。完全に見透かされている。それでも、どうにかごまかそうと口を開く。
「そ、それは、その…」
まともに言葉が出てこない。私が目を泳がせている間に、咲茉ちゃんはさらに続けた。
せめて、もう少し抗いたい
「まあ、だいたい分かるよ。澪ちゃんって、いつも蒼君のことになるとすごく分かりやすいもん。」
「そ、そうでしょうか…?特にそんなことは…」
動揺を隠しきれず、声が裏返ってしまう。
もう無理かも
「うん、絶対そうだよ。この前もさ、蒼君の名前が出ただけで、澪ちゃんの顔がほんのり赤くなってたもん。」
咲茉ちゃんは、嬉しそうに微笑む。小悪魔のように微笑む、そして、その指摘に、私はさらに動揺してしまう。
「そ、それは気のせいだと思います…!」
急いで否定するが、咲茉ちゃんの追及は止まらない。
「まぁまぁ、もう認めなって」
「咲茉ちゃん…どうしてそこまで…?」
思わず問いかけると、咲茉ちゃんは悪戯っぽく笑った。
「友達だからだよ!それに、澪ちゃんが隠し事してる顔って分かりやすいからね。でも安心して、誰にも言わないから。」
「ありがとうございます…」
私は俯きながら小さな声でお礼を言った。でも、咲茉ちゃんの目はまだ輝いている。
「それで、どんな感じなの?毎朝『おはよう』とか言い合ったりしてるの?」
一気に顔が熱くなる。
「そ、そういうわけではありません!」
「じゃあ、澪ちゃんは朝ご飯作ったりするの?蒼君の好みの味とか覚えちゃってたり、部活帰りの蒼君に蒼君エネルギーを補充するため抱きついたり、添い寝したり――」
「や、やめてください!」
咲茉ちゃんのからかいに耐えきれなくなり、私は手で顔を覆った。
咲茉ちゃんの笑い声が部屋中に響く。その後も質問攻めが続き、私はただひたすら恥ずかしさに耐えるしかなかった。
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