第11話黒の女神は念入りに準備をする
『背水の陣』
一歩もひけないような絶体絶命の状況の中で
——————全力を尽くすこと
失敗すれば絶対に助かることはない
—————追い詰められた状況のこと
◆◆◆
落ち着くのよ澪
「ふぅー、はぁー、よし」
私しかいない家に1つ、深呼吸の音が広がる
お母さんは今週からお父さんの所に行ったから今は居ない
寂しい寂しくないか?って聞かれたらもちろん寂しい気持ちがある
でも、お母さんにも好きな人と一緒に居る時間を作ってあげないとかわいそうですからね
「蒼君はどういう服が好み何だろう?清楚系か可愛い系か」
私は頭の中の蒼君がなんて答えるか考えました
正直、私の意見としては清楚系を着て行きたい
何故なら、お母さんがよく清楚系の服を着ているから、私も清楚系が似合ってると思うから
実際、友達と買い物とか行く時は清楚系で行ってる
「大丈夫、これでたいした成果を得られなくても、チャンスはまた来るはず……」
本当に来るのでしょうか
私の脳内に嫌な考えが浮かんできました
一昨日のハグは私の最大火力でした、それなのに、蒼君には全く効いていない感じでした。
もし、私より魅力的な女性がハグをしたら、蒼君はどんな反応をしたのでしょうか
……いや、考えるのやめよう
まずは楽しまないと
私は邪念を薙ぎ払い、服装について考え始めました
「……これで行来ましょう」
私は、自分の選んだ服に完璧な自信は無かったが、最善を尽くせたと思う
「蒼君はどうだったんだろう」
落ち込んでたら、しっかり励まさないと
「夫を励ますのは妻の役目ですからね」
私は、蒼君の活躍を期待し、今日着ていく服一式をベットの上に置き、蒼君の家で家事をしながら帰りを待ちました
◆◆◆
「はい!」
久則がドリブルで切り込み、自分のマークマンを抜き、カバーとして、おれのマークマンが久則のドリブルを止めようとした。
しかし、久則はそれを見逃さなかった
――おれの眼の前に大きなスペースがあることを
久則はおれのいるコーナーに完璧にパスを出してくれた
完璧すぎっしょ
久則のパスに感心しながら、シュートを撃った
おれの放ったシュートは綺麗な弧を描きながら、リングに吸い込まれていった
「「「「「ひいーらぁぎ蒼はスリーの名産地ー」」」」」
ベンチにいた先輩方が盛り上げてくれるお陰で、自然と流れがこっちに来る
先輩方が盛り上げてくれたお陰で、おれらは流れをずっと渡さず、一方的な試合展開だった。
それのお陰で、おれの個人成績も良かった
「蒼、お前調子乗るなよ」
「え~、何が~」
「時すでに遅し」
おれは10分プレイタイムをもらえ、スリー4本を沈め、それ以外のシュートもしっかりと決め18点
ディフェンスもうまく行ったシーンもあったので、アピールとしては最高の出来だったと思う
「いやー、自分でも驚くほどの完璧具合だよ」
「うぜー」
「1年生集合」
「はい!」
監督からの急な集合により、おれ達の雑談は強制的にストップされた
「えー、まぁ、相手を圧倒できたところも、素晴らしかっし、ディフェンスも点差がついてたのに、緩めず、逆に、更に厳しくしたのが素晴らしい、だが、1クォーターに出た5人も、2クォーターに出た5人、後半の得点ペースが落ちたな、確かに、1、2クォーター両方とも、速攻がたくさんあったから、疲れたのもわかる、まぁ、まだ時間はあるから、体力はつけとくように、後、今後も、練習試合のたびに、1年生ゲームがあるかもしれないから、次の相手も圧倒できるように、更にレベルアップしていこう」
「はい!」
「出なかった1年生は、次の1年生ゲームに出すから、準備しとけよ」
「はい!」
「よし……おーい、次はお前らだぞ」
そして、無事練習試合が終わり、急いで、帰る準備をした
いつもは自主練をするのだが、澪が待っているので、それどころではない
「お疲れ様でした」
そして、おれは体育館を後にした。
「蒼、……、帰る…早く…」
「それな、いつ……自主……するのに、今日……はしてないな」
「怪し……」
「だったら、おれ等で………きんぐしね?」
「それだ」
もし、おれの聴力がキモいほどあれば、この会話を詳しく聞けたのかもしれない
もし、おれの聴力がキモいほどあれば、楽しかった買い物を100%楽しめたのかもしれない
「澪、待った?」
「大丈夫です、私も、さっきまでは家事をしていましたから」
「わかった、じゃあ着替えてくる」
「私も家に帰って着替えてきます」
「あいよ」
「さぁ、どうしようか」
おれは今、何をしているかと言うと
今日の買い物中、澪に対してどんな攻撃をするか頭をフル稼働させながら考えていた
まずは服を褒める所からだな、これは女子と一緒にどこか行く上で基本中の基本だろ
そして、おれは澪が着て来そうな服を妄想した
……別にキモイ事じゃないでしょ
男だったら自分の好きな人、自分の推しがどんな服で来るんだろう、とか妄想した事ぐらいあるだろ
そんな事を思いながら着替え終え
玄関を開けた
そして、おれの眼前には、正しく女神様のように美しく綺麗な人物がいた
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