第56話黒の女神の隣は確定している
現実問題、澪の転校前の学校で何があったのか知らない、けど、予想は容易い、澪だけ1人桜島高校の制服であるセーラー服の袖が肘の少し先まであるのだろう、傷跡を隠すためにな
そもそも火傷で通されていたおれのバカさもイカれてるけど
「澪、目開けて」
「わかりました」
サマーナイトも終焉を迎え、空には暗闇と静けさが戻ってきた。
展望台からでもサマーナイト帰りのカップル、家族が見える、あそこにあんなゴミ共が居るって考えると殺意が湧き出てくるが、今の目的は殺すことじゃない、澪を安心させどんな事をされたかの情報を得ることだ
澪はゆっくりと瞳を見せると、『綺麗……』と言葉を漏らしていた
夜の帳が鹿児島全体を覆い尽くし、鹿児島市街の明かりが星空と地上の境界をぼんやりと彩っていた。 ペルセウス座星流群がその頂上を迎えるという夜、夏の夜風が涼しく吹き抜け、木々のざわめきが微かに耳をくすぐる。
そんな夜空に幾つもの流れ星が空を駆け巡っていた
「蒼君、私……」
先程の弱っていた澪とは打って変わって、今の澪は、瞳の奥に何か決意のような物を感じ、光が宿っている感じがした
「もう、隠せないと思いますが、私はあの人達に…厳密に言えば沢山の人に虐められていました」
「うん……ごめん」
「あ、蒼君は謝らなくても」
そもそも、おれが4月から5月の間に澪が置かれていて状況を知っていればもっと早く桜島高校に転校させれてかもしれなかったのに。
澪はこんなにも傷を負わなくても済んだのに
「……なんで虐められたの?」
「言葉通り、私が前の高校で八方美人だったからでしょう」
澪は頭上に流れるペルセウス座流星群を眺めながら、言った。
その時に一瞬見えた苦しそうな顔がおれの胸をさらに締め付けた
「私は中学校の最後の実力テスト、一番の得意科目であった彼女らにシャー芯を粉々にされ、替え芯も粉々にされ、それのせいで点数は伸びず、お父さんと約束していた通り300点を超えなかったので別の高校を受験し無事合格しました。
でも、それが悪夢の始まりでした」
やっぱり、思い出したくない記憶だったんだろう
さっきまではの光はもはや消え失せ、今にでも泣き出しそうだった
「きついんだったらもう――」
「大丈夫、です」
澪は深呼吸をし、話を再開した
「そこで私は皆に優しく接しました。でも、彼女たち、は……それを、ゆるさ――」
「っと」
「はぁ、はぁ、う、あ、ありがとうござい、ます」
澪は急に足の力が無くなり倒れそうになり、おれはすかさず澪の背中に回りなんとか背中から倒れるのを未然に防げた。
おれのケツは少し痛い
PTSD別名を――心的外傷後ストレス障害
過去に経験したり目撃した衝撃的な出来事が原因で、長期的な心身の苦痛や生活への影響が生じる障害
簡単に言えばトラウマの上位互換だったはず
PTSDの症状で急に倒れるみたいなの無かったけ?ないでほしいんだけど、トラウマになっているのは確定だろうな
「澪……おれさ」
「なん、ですか?」
「前に言った13日の夜空いてるって聞いたのはさ、理由があるんだ」
澪の頭を撫でなが言った
「おれは宣言する、来年の7月、お前に告白する」
「告白って……私達もう夫婦ですよ?」
澪は純白の顔を赤らめもじもじしながら言ってきた
「やっぱさ、段階踏んだほうが良いじゃん、まぁ結果は結婚エンドで変わらないけどさ」
それにこれで告白したっていう事実を作ればマウントを取れるしな
それに澪に近づく男ども予防にもつながるはず
「な、なんで来年なんですか?」
「今日の流星群よりも格段に綺麗でロマンチックな風景を君に見せれるからかな」
すると、澪は俯き、雰囲気も暗くなったのを感じた
「……わた………とな………」
「え?」
澪は小刻みに震えながら小声で何か言った。
それと同時に、おれの足に水滴が当たったような気がした。
天気は晴天なのに、水滴って……あ、なるほどね
おれは優しく澪の背中から抱きついた
「私なんかが、ぐす、蒼君の、ぐす、お嫁さんになっても、ぐす、良いのでしょうか」
「ははっ、愚問だよ澪」
「え?」
「相方が許可してるんだからそうマイナスになる言葉言うなって」
「はい……」
「……辛くないんだったら、続きを知りたいんだけど」
「わかりました……、それで彼女たちは同じクラスの女子たちと言い争いになり、『澪ちゃんはどっちの味方なの』と言われ、私が悩んで結局答えれずに居ると『もう良いよ』そう言われ、翌日には誰も目を合わしてくれず虐められるようになったんです」
おれは澪を持ち上げ、面と面が合うようにした。
「あ、蒼君?」
たとえ暗くても、その赤色だけははっきりとおれの瞳に写った
「よく頑張ったな」
おれは無意識に澪を抱きしめた
それと同時におれは澪を一生守ると誓った
「もう離さないから安心しろ」
「はい……私の旦那様」
いやいや、感動シーンなのにさその発言は強すぎるって
澪はおれの胸に顔を埋め、両腕をおれの背中に回し強く握ってくれた
そしておれは顔が熱くなり目を逸らした。
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