第42話怖い1日の始まり

「おい、蒼」

「何」


パソコンでカタカタとキーボードの音を立てながらお父さんはおれに話しかけてきた


っち、おれの貴重なイベランの時間を取りやがって、今日中には1万位には入りたいのに


おれは音ゲーをやめ、お父さんの方に向かった


「お前何円の望遠鏡買いやがった」

「良いじゃないですか、貴方が知的好奇心の抑制はダメだーとか言って蒼に買った物は数え切れませんよ」


お父さんは『それとこれは別』と言い、お母さんは少しため息をこぼしていた


流石に高すぎたか、もう少し安物にしとけば良かったな


「知的好奇心の抑制はダメだとか言ってたお父さんが言うのはあれだが、あのクレカは蒼のじゃないんだからもう少し自重してくれ」


まぁ、その件に関してはおれも少しはやりすぎた感があったからな、ここは素直に謝っとこう


「ごめん」

「謝る必要はないんだけどなぁ、まぁいっか」

「そうそう、蒼」


今度はキッチンでコーヒーを入れていたお母さんが聞いてきた


「澪ちゃんは今どこにいるの?」


知らん


申し訳ないけど、今日澪がどこかに行くなんて知らなかったし、把握するのは澪を縛りつけてるみたいで嫌じゃん


「おれも部活から帰って来たらこのざまだったんだから知るわけないでしょ」

「連絡とか来てないの」


さっきまで和希さんとイチャイチャしていた雫さんが今にでも泣き出しそうで少し心配そうな瞳で聞いてきた


そりゃそうか、自分の愛娘だもんな、こんな表情になるのも仕方ないか


「多分もう少しで帰ってきますよ」

「わかったわ」


おれは2階にあがろうとするとお母さんから『なにするの?』と聞かれた

そしてつくづく思うのは、おれも男子高校生ということ、脳内の予測変換があれにしかならない

多分お母さんは2階で何するの?と聞きたかったんだろう、でもごめんお母さん、おれはもう純粋無垢な柊蒼じゃないんだ


おれは少し声を震えさせながら


「ゲームしてくる」


まぁ、本当はボカロ作曲なんだけど


「澪ちゃんが帰ってきたら教えるからね」

「あいあい」


今日はメロディーを作ろうかな


◆◆◆


「よし」


私は服装を正し、蒼君の家の玄関を開けた


「ただいまぁ」


私はそう言って蒼君の家に入ると、リビングからとある人の駆け足の音が聞こえた。

短い思考でこの音の主は予想がつきました。


私が知ってる限り、絶対にあの人だろうな


「澪ちゃーん」

「お母さん」


私は走ってきたお母さんを受け止め、お胸に私の顔を埋めた。

お母さんもそれと同時に背中を撫でてくれた


「少しはお家に帰ってきてもいいのよ?私が寂しいわ」

「ごめんなさい、蒼君との生活が楽しすぎて……」


そう言うと、耳元で私が何回も聞いたことのある、女神のような優しい声の微笑みが聞こえてきました。


「私もかず君と同性生活してた時はとっても楽しかったわ……とりあえずリビングに入りましょう」


ドアを開けると、そこには蒼君と蒼空さん、そして、一緒にとある馬についてのバラエティーを見ている筋肉屈強な男がいました


「蒼は誰が一番最強な馬だと思う?」

「そうですね……やっぱり――」

「いや絶対に――」

「お父さん達、なんであんなに盛り上がってるの?」


私はダイニングでコーヒーを飲んでいる彩姫さんとお母さんに聞いた。


「さぁ、あの人はいつも道りだよ」

「うん、変わらないわね」

「あ、そうそう、今から結婚記念日のプレゼント渡して良い?」

「ん?良いけど、明日だよ?」

「ちょっと明日は少し用事ができたから」


そう言うとお母さんはわかったと言いてくれたので、急いで2階に上がった


◆◆◆


「ペアのアクセサリーで、二人がこれからも仲良く、そして幸せに過ごせますようにという願いを込めて選んだよ」


そう言いながら、私は少しずつ前進し、お母さんに箱を渡した


蒼君も彩姫さんにプレゼントを渡し、彩姫さんは微笑みながらブレスレットを手に取り、自分の手首にはめ蒼空さんも同じように着けると、二人ともとても満足そうだった。


私の両親も選んだネックレスを満足してくれている様子なので嬉しかった


「お父さん、お母さん、これからもずっと仲良くしてね」


最後にそう言った私の声が、家族の温かい笑い声に包まれる。平和で穏やかな、特別な一日が静かに流れていた。


蒼君は少し苦笑いをしていました


「じゃあ、私と澪ちゃん、雫は場所を移しましょうか」


そして、私はお母さんと彩姫さんに半ば強引に私の家に連れて行かれた。




「で、澪、蒼君とは上手く行ってる?」

「あの子、澪ちゃんになんか酷いことしてたりしない?」


私はそう言ってきたお母さんと彩姫さんに少し驚き


「なんも酷いことされてませんし、なんなら、私が迷惑をかけてるかんじですけど、楽しい日常を送ってますよ」


私はお母さんたちを安心させるために、笑顔で言いました













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